[2019年1月21日13時26分]
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インタビュー 文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ!」3000回の金字塔でも戦いは続く

■ラジオの役目は「小さな声」伝えていくこと

怖そうに見えて温かい。気難しそうだけど情け深い。タレント大竹まこと(69)がパーソナリティーを務める文化放送「ゴールデンラジオ!」(毎週月〜金曜午後1時)が、17日で放送3000回を突破した。時代の空気を深く吸い込み、本気の発言で世の理不尽に風穴をあけてきた12年。夢だったラジオの仕事と向き合う大竹に迫った。

年の瀬。東京・浜松町の文化放送9階にある第1スタジオ。読み上げられるはがきには、生きることの苦しみ、孤独な時間を過ごす寂しさ、市井の心の叫びがつづられていた。円卓の中心に座る大竹からため息が漏れる。マイクから鼻水をすする音が伝わってくる。

介護施設の経営者が離職者の続出を嘆く。73歳の女性は食べていくために清掃業務の職場を1つ増やした。本当に日本は豊かなのか−。

最近の大竹は涙もろい。「もっと介護職の給料上げろよ」「お母さん働き過ぎだよ」。リスナーへ呼びかける1つ1つの言葉にぬくもりが込められる。

「感情の起伏が心の中で激しいからド〜ンと寄り添うこともある。時には傷が深くなるときもあって。でも本当に寄り添わなきゃいけない時は寄り添わないと。難しいな」

大竹が切り込む話題は幅広い。格差社会、性的少数者(LGBT)、変えることのできない属性への差別、国民の声を聴かない政権への批判…。少数の意見をくみ取らない排他的な社会の空気、権力者の横暴な手法には牙をむく。

「そんなに高みに立てるほどの知識もないけれど、ラジオの役目として、小さな声を少しでも伝えていきたい。大きな声はまとまった意見で、小さな声は分断された声。日本中のあちこちで、貧しい人同士が分断の先っぽにいる」

年末、米軍基地の移設に揺れる沖縄・辺野古で土砂投入が始まった。タレントのローラ(28)がSNSで停止を求める署名を呼びかけたところ、一部ネット上で批判を浴びたことに違和感を覚えた。

「マイノリティーの声をどこまで政治に反映させるか。マイノリティーを救えないような政治はだめだよ。ローラが意見を言って何が悪い!?」

タレントが政治的な発言をすると世はざわめく。そんな窮屈にまとまる日本社会の空気を打ち破るように、ためらうことなくモノを言う。

「結構、俺もやけどもするんだけど、それでもいいかなと。それで炎上して、消えてもいいんじゃないの。年も年だし。小さい声を伝えていくことは、立ちはだかる巨大な壁に向かってゴムまりでも投げている感じかね」

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