大いに進化したのは審判の技術だ。これには感心させられる。日頃からトレーニングし、アメリカのクリニックでも勉強している。以前に比べ、安定したジャッジができている。ユニホームもスマートだ。

 しかし、はっきり言って、試合のレベルは下がった。かつて日本の高校野球は、素晴らしい人材を次々とプロに送り出した。桑田真澄、水野雄仁、清原和博は卒業後すぐにプロで通用した。だが、もうそういう時代は終わったような気がする。ラグビー、サッカー、テニスなど他のスポーツへ人材が流れることが一因。メジャーリーグも同じ悩みを抱えている。アメリカでもサッカーの人気がうなぎ上りで野球を脅かしている。

 この2年でメジャーの観客動員は7900万人から6900万人に減った。明白な理由がある。試合開始時間が午後8時。これは遅すぎる。しかも試合時間が3時間半と長い。打者によって守備位置を頻繁に変えることで、ファンの喜ぶヒットの数が減った。ムダな分析が多すぎる。打者を厳しくえぐるビーンボールも減り、ある意味で迫力がなくなった。これらのうち多くは日本のプロ野球にも当てはまる。


 私にはいま、マニラから来たガールフレンドがいて、野球を教えているところだ。私がテレビで巨人戦を観戦しているとき、思わずテレビに向かって罵声を浴びせたのを見て、彼女はとても驚いていた。気が触れたと思ったようだ。だが、王貞治さんから「野球のマスター」と呼ばれた私の英才教育で、彼女の試合を見る目は日増しに肥えている。

 日本のプロ野球で良くなった点は何か?

 ユニホームの色は良い。マーケティングを行い、以前よりも若者が球場に足を運ぶようになった。ところが、テレビの視聴率は下がっている。

 楽天の三木谷浩史社長は昨年、NBAのゴールデンステート・ウォリアーズの胸スポンサー契約発表会見を行い、スーパースター、ステファン・カリーが始球式を行った。これはいい傾向だ。

 現在、パ・リーグの方が野球の実力、マーケティングともにセ・リーグより上だ。セ・リーグには昨季、年間勝率で5割を上回ったチームが2つしかなかった。ところが観客動員は依然、セ・リーグが上。とても奇妙なことだ。より多くの人が質の高い試合より、低い試合を見ていることになる。巨人戦は依然満員。昔からの伝統は、なかなかなくならないものだとしみじみ思う。

試合後に選手が整列し、ファンに観戦と応援のお礼をするのはほほえましい。私は日本のプロ野球はあと2、3球団増やすべきだと思う。新潟、沖縄、松山は格好の候補地だ。仮にそれがかなわないなら、少なくともマイナーチームを増やすべきだ。なぜこうしたことができないのか不思議でならない。(構成ロバート・ホワイティング)

2019.1.19
https://www.zakzak.co.jp/smp/spo/news/190119/spo1901190002-s1.html