改めて注目されたのが、「ファンとアイドルの距離感」だ。

 もともとAKB48グループは、気軽に会いに行けるアイドルというコンセプトだったはずだが、同じグループであるNGT48の場合はすでに気軽に会いに行ける、を通り越して、親密になれるアイドルだったのだろうか。

 AKBグループの一つで、名古屋を拠点にした「SKE48」の元メンバーである手束真知子さんは、今回の事件の背景には、地方という側面があると指摘する。

「SKE在籍当時に寮に住んでいました。私がいた時にはこの様なトラブルはなかったんですが、裏で『どこに住んでいる』とか出回っていたりしていたみたいです。東京と違って、地方の場合だと、本当に狭い。

東京だったら、例えば、移動の際には東京駅があったり、秋葉原、原宿、新宿があったりと色々ありますが、地方だったら駅が決まっている。

私たちは名古屋に住んでいたので、絶対に名古屋駅を使って帰る。だから、名古屋駅にいたらメンバーには絶対に会えるんですよ。すごく狭いし、情報とかが漏れやすい」

 今回のNGT48のメンバーらも新潟市内のマンションを寮としていたようだが、地方となると、条件に適したマンションは限られていることもあり、すぐわかってしまうという。また、東京と地方ではファン層の違いがあると手束さんは指摘する。

「基本的には、(ファンとAKBグループメンバーがつながることは)ほとんどないと思う。ただ、若い子で10代からやってきてチヤホヤされ、しかも地方だと、ファンの年齢層が若くなる。秋葉原ではファンの年齢層が割と高めで生粋のオタクの方が中心ですが、地方だと、若くてイケイケな、(メンバーにとって)格好良く見えるファンがたくさんいる」(手束さん)

 AKBグループでは過去に、メンバーがファンと出待ちをきっかけに親しくなり、研究生への降格処分を受けたこともあったという。

メンバーの人数が多いということもあり、スタッフが管理しきれていないのが実情なのだろう。本来ならメンバーに教育をすれば、とも思うが、「暗黙のルールという感じで、改めて(ファンとの距離感とか)教えてもらうことはなかったですし、口酸っぱくしてスタッフさんから言われることもなかった」(手束さん)という。

 一方で、手束さんは運営側に気に入られている“推されメン”と冷遇されている“干されメン”の格差問題を主張する。SKE在籍当時、自らは“干されメン”だったという体験を元にこう指摘する。

「運営側は選抜された推されメンにしか目を向けないですよね。どうしても、忙しいですし、遠征とかで一緒にいる機会も推されメンとは多いですし。推されメンの子達と、干されメンの子達の(対応や気持ちの)差が開いていく。

皆、野心強いと思いますし、選抜だけを目指してやっている。私もそうでした。その選抜に入っている子が不真面目ぽくやっていると、『私はこんなに真面目にやってるのに』となる。今回の一件で、劇場支配人が女性の方に変わりましたが、人数も多いですので、メンバーたちにもっと寄り添ってもらえればいいなとは思います」

1/18(金) 19:46配信 AERA 全文
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190118-00000100-sasahi-ent&;p=1