広島の皆さん、お世話になります――。巨人にFA移籍した丸佳浩外野手(29)の人的補償によりカープ移籍が決まった長野久義外野手(34)が
本紙の直撃に応じ、電撃発表後初めて自らの口で現在の心境を明かした。両軍ファンの心を打ったあのコメントに込めた思いと、前を向いて新天地に臨む決意。
球界全体に波紋が広がり続けるなか、遠く離れた異国の地で男は今、何を思うのか。

 丸を失った心の穴を埋めてくれるようなヒーローの誕生に、広島は球団の枠を超えて街全体が沸いている。市内では地元紙が号外を発行し、
地元テレビ局は急きょ特番を放送。カープナインも続々と歓迎の声を上げた。そんな熱狂は遠く米国・ロサンゼルスで自主トレ中の長野にも届いていた。

「うれしいですよね、本当に…。カープの皆さんはもちろん、広島の街の知り合いの方々も、皆さん口々に『困ったことがあれば何でも助けになるから』
と言ってくれているんです。ありがたいことですよね」。いつものちゃめっ気は封印して、長野は素直な思いを口にした。

 思い焦がれて入団した巨人を思わぬ形で去ることになった。傷ついていないはずがない。それでも「僕は大丈夫ですよ」と記者のしんみりムードを
穏やかな口調で制すると「伝えたいことはあのコメントに込めました」と短い言葉を発した。

 球界に衝撃が走った直後、巨人を通じて発表された長野のコメントは両軍ファンの心に響いた。その始まりは「3連覇している強い広島カープに
選んでいただけたことは選手冥利に尽きます」。続けて巨人のチームメートやファンら、全ての関係者へこれまでの感謝を述べ「ジャイアンツと
対戦することを楽しみにしています」という言葉で結んでいた。

 長野によると、自ら紙にペンを走らせて何度も推敲を重ね、数時間考え抜いたのだという。

「『驚きましたが…』というような言葉は絶対に使いたくありませんでした。まずは選んでいただいたカープの方々への思いを一番初めに伝えるべきだろうと
思いました。それからファンの方々やジャイアンツの皆さんへの感謝も。どう受け止められたかは分かりませんが、自分なりにしっかり考えたつもりです」

 あふれるほど抱えているはずの巨人への思いは封印し、代わりに最後口にしたのは新天地に臨む前向きな思いだった。

「なぜカープはあんなに強いのか、ずっと知りたかった。中に入ればきっとそれが分かるでしょう。新しい野球を勉強できるのは、本当に楽しみです」

 天才・長野が王者の野球を吸収したとき、どんな化学反応が起こるのか――。愛したG党の涙に見送られ、赤く染まった広島の街にもうすぐ飛び込む。

東スポWEB
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