12/31(月) 8:49配信
Web東奥

 ファウルボール事故の危険性があるとして、青森県高野連は2017年まで春季と秋季の県高校野球五所川原地区予選が開かれていた五所川原市営球場の使用を今年から中止し、各校は地区外での試合を強いられている。五所川原市教委は、多額の費用がかかる球場改修に慎重姿勢を崩しておらず、使用再開に向けた道筋は不透明なままだ。

 市営球場は三塁側スタンドのすぐ外側に市道があり、県高野連と市教委によると、ネットの高さ不足のため毎年のようにファウルボールが道路や駐車場の車を直撃していたという。18年は、県営(青森市)、弘前はるか夢(弘前市)などの球場で地区予選を行った。

 場外への飛球を防ぐためには、高さ約13メートルのネットを最大40メートルまでかさ上げする改修が必要。市教委の試算によると最大で8千万円かかる。地区内に高野連の試合開催基準を満たす施設はほかにないという。

 県高野連常任理事の三上保五所工野球部長は、地区外開催に伴う負担増について「遠征バスの有無など学校ごとに事情は異なるが、部員1人当たり移動費などで1万円前後にはなる」。他地区の地元試合と日程が重なることが多く、会場確保も困難という。

 県高野連は昨年、市教委に球場の改修を要望。12月の定例市議会でもこの問題が取り上げられた。約15キロ離れた金木球場での開催が代替案に挙げられるが、こちらも外野フェンスの衝撃吸収ラバー設置などで約3千万円の改修費が必要。市教委の小林耕正教育部長は、取材に「市の厳しい財政状況を考えると、数千万円単位の費用をすぐに捻出するのは難しい」と説明する。

 県高野連は現時点で、19年の地区予選も地区外の球場で実施する方針。会場が確保できない場合、設備面で劣る学校グラウンドで行う可能性もある。

 地区内の野球部員の母親で板柳町の40代女性は「移動が大変で、孫の試合を応援できなくなったというお年寄りもいる。選手が地元で試合ができる環境を整えてほしい」と訴える。

 ある高校の2年生部員は「市営球場だと、高校のグラウンドで体を温めてから球場に行って試合ができる。やりやすい」としつつも「球場がどこでも、自分たちはいつものプレーをするだけ。(県営やはるか夢での試合で)夏の甲子園県予選の前に、本番の芝に慣れることもできる」と前向きに語った。

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