女優の永野芽郁(19)にとって2018年は飛躍の1年となった。もともと演技力に定評はあったが、4〜9月に放送されたNHK連続テレビ小説「半分、青い。」の主演に抜擢され、波乱万丈な人生を送るヒロインの10〜40代の悲喜こもごもを体現。一躍、お茶の間の顔となった。朝ドラ終了後も写真集、ドラマ、映画と引く手あまた。来年はまず、日本テレビの連続ドラマ「3年A組―今から皆さんは、人質です―」(1月6日スタート、日曜後10・30)に出演。内向的な女子高生役で、新境地に挑む。大みそかは「第69回NHK紅白歌合戦」(後7・15)の審査員を務め、大活躍の1年を締めくくり。鈴愛のごとく駆け抜けた永野の2018年を振り返る。

 「半分、青い。」は朝ドラ通算98作目。フジテレビ「素顔のままで」「ロングバケーション」「空から降る一億の星」やTBS「愛していると言ってくれ」「ビューティフルライフ」「オレンジデイズ」など数々の名作を生み“ラブストーリーの神様”と呼ばれるヒットメーカー・北川悦吏子氏(56)によるオリジナル脚本。岐阜県と東京を舞台に、病気で左耳を失聴した楡野鈴愛(にれの・すずめ)が高度経済成長期の終わりから現代を七転び八起きで生き抜く姿を描いた。

 ヒロイン発表会見は昨年6月20日に行われ、この時、永野は17歳。2366人が参加したオーディションに合格した。昨年11月の撮影に入り、今年8月17日にクランクアップ。約10カ月の長丁場を完走した。最終回(9月30日)目前の9月24日に19歳になった。

 近年多かった朝ドラ王道パターン「偉業を成し遂げる女性の一代記」とは一線を画し、鈴愛は自分に漫画家の才能がないことに絶望。その後、結婚・出産・離婚も経験しながら“運命”の幼なじみ・律(佐藤健)と「そよ風の扇風機」を発明。難病(炎症性腸疾患、聴神経腫瘍)と闘いながら執筆を続けてきた北川氏が魂を込めた難役だったが、永野は高校生からの40年、人生の縮図を瑞々しく表現した。

 クランクアップ時、制作統括の勝田夏子チーフプロデューサーも「永野芽郁さん、あなたは本当に凄かった。18歳の女の子が、1人の女性の波乱万丈な40年の悲喜こもごもを、たった10カ月で体験しながら、リアルに演じ切ってくれました」と、その憑依力に舌を巻いた。

 全156回を通じた期間平均視聴率は21・1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。16年後期「べっぴんさん」の20・3%、17年前期「ひよっこ」の20・4%、17年後期「わろてんか」の20・1%を上回る好成績を残した。番組最高24・5%(8月8日)は今年の全ドラマのうち、堂々の1位。子役から活動し、映画「俺物語!!」、初主演ドラマ「こえ恋」(テレビ東京)、NHK大河ドラマ「真田丸」などで知られていた永野だが、このヒットにより、その名は一気に全世代にとどろいた。

 クランクアップ数日後の合同インタビュー。鈴愛が100円ショップ「大納言」に勤め、結婚・出産・離婚を経験した「人生・怒涛編」(7月5日〜8月4日)は撮影の記憶がないほど大変だったと明かしたが「そこを乗り越えると意外と楽勝でした(笑)。ロスに襲われるかと思ったんですが、襲われたのはクランクアップの日だけで、今は次のことを考えたりしているからなのか、意外とあっさり『サヨナラ〜』って感じで(笑)、ケロッとしています。もう台本も全部、実家にありますが(笑)、いつでも鈴愛に戻れる自信はあります」と天真爛漫。

 一方、鈴愛の一番いいところは?の質問には「北川さんがいいところだけじゃなく、飾らずに鈴愛を描いているので、それがすごく人間らしいと思いました。(夫の)涼ちゃんに『死んでくれ』と言った時も『そんなことを朝から言っていいのか?』とネットニュースになっていましたが、そういうことを言ったことがある人はいると思いますし、私は演じていて、そう言いたくなりました。鈴愛は共感するところもあれば、しないところもある。誰だってそうだなぁと思います。私のことだって、いいと思ってくれる人もいれば、そうじゃない人もいて。それが人だから。鈴愛はすごく人間らしくて、人間力にあふれている人だなって思います」と冷静な分析も。「1日に撮る量やセリフの量がとんでもなく多かったので、それに慣れすぎて、今、映画1本分くらいの台本なら3時間くらいで覚えられます」と自らの成長を口にした。

>>2以降に続きます

2018年12月31日 10:30
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