大晦日に開催される格闘技イベント「RIZIN.14」で“天才キックボクサー”那須川天心(20、TARGET/Cygames)とエキシビションマッチで対戦する無敗の元5階級王者、
フロイド・メイウェザー(41、アメリカ)が29日、自家用ジェットで来日、東京都内のホテルで会見に応じた。
無事に来日したことでRIZIN関係者を安堵させたが、その一方で、この試合が3分3ラウンドの「ボクシングルール」で行われ、判定無しのエキシビションマッチとはいえ、
5キロ以上の体重差があり、8オンスのグローブが使用されることをプロボクシングを統括している日本ボクシングコミッション(JBC)が問題視していることが明らかになった。

現在JBCルールの中に「エキシビションマッチ」というカテゴリーはなく「公式試合会場における公開スパーリング」という定義になっている。
5月に亀田興毅(協栄)が、事実上引退していた40歳の元WBC世界フライ級王者のポンサクレック・ウォンジョンカム(タイ)を引っ張り出して引退試合を敢行しようとしたが、JBCは認めず、
この試合も非公式な「公式試合会場における公開スパーリング」として行われた。
たとえ公開スパーリングであってもJBCの統括するリングで開催される以上、事前に申請、許可が必要で、JBC側も、レフェリー、インスペクター、専属医師などが用意し、試合前後の健康管理、完全面に配慮した上で行われた。

だが、今回のメイウェザー対天心は、米国での会見で「ボクシングルールによるエキシビションマッチ」と、ハッキリ発表されているにもかかわらず、
JBCへの連絡などは一切なく、レフェリーもメイウェザー側が連れてきた人物で、健康、完全管理面もRIZIN独自のレギュレーションの下で行われ、内容がハッキリとしていない。
つまり競技性が担保されていないエンターテイメントのイベントとしての「ボクシングルールによるエキシビションマッチ」なのだ。

しかし、一般の視聴者には、エンターテイメントの「ボクシングルール」とJBCが統括しているプロボクシングとの違いは伝わりにくい。
年末にはプロボクシングの6大世界戦が行われるが、この試合をそれらの世界戦と混同されてしまうことをボクシング界は懸念している。

JBC関係者は「ボクシングルールだとハッキリとアナウンスされてしまうと非常に違和感がある。
一般の方が間違ったイメージを抱いてしまう危険性がある。
プロボクシング界では、昨今、計量超過が問題になっているが、厳正なルールをつくり、健康管理、公平性の部分を重要視して競技性を高めている
だが、今回、その方向性に沿わないようなことをボクシングルールとして行われるならば、たとえエキシビションであっても違和感がある」と不満を口にした。

RIZINの榊原信行実行委員長も、その点は理解していて、当初は「我々はボクシングライセンスもなく、ボクシングの試合を統括管理はできない」と断言。
ボクシングルールという言葉は使わず「限りなくボクシングに近い立ち技系の異種格闘技ルール」と、度々、発言していた。

ボクシングルールという言葉が前面に出てしまった場合の問題を把握しているゆえの配慮で天心はボクシングシューズを履かず、
ボクシングでは認められていない“裏拳”の容認など、JBCの統括するボクシングルールには抵触しない、特別な立ち技ルールで行うプランが検討されていた。
 
だが、メイウェザー側は「ボクシングルール」と会見で明言。
天心もボクシングシューズの着用を決断するなど、ルール上、ボクシングと違う部分がなにひとつなくなってしまった状況では話が違ってくる。
しかも、エキシビションとはいえ、KO決着ありのルールで、JBC管轄では、決して認められない大きな体重差があり、8オンスの軽いグローブが使用されるのだ。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181230-00010002-wordleafs-fight
12/30(日) 7:01配信