2018/12/26 05:30神戸新聞NEXT
 「阪神園芸」(兵庫県西宮市)といえば、阪神甲子園球場(同市)のグラウンド整備で名高い職人集団。昨年10月のプロ野球クライマックスシリーズでは降雨にも関わらず試合を継続させ、ファンの感動を呼んだ。ただ同社によると、グラウンド整備はあくまで一部門で主力は社名の通り園芸や造園事業。それぞれの強みをうまく生かしながら、今年で創立50年を迎えた。(伊丹昭史)

 同社は1968(昭和43)年、同じ阪神電鉄系列で、かつて甲子園球場の近くにあった遊園地「阪神パーク」の緑地管理部門が独立して誕生した。甲子園のグラウンド整備は当時、球場で担っており、79(同54)年に阪神園芸へ業務が移った。

 高い整備技術は戦前からの試行錯誤で既に編み出され、「根本は今も変わっていない」と同社甲子園施設部長の金沢健児さん。和田豊選手らの要望で内野の土を軟らかくしたり、盗塁王5度の赤星憲広選手がスタートを切りやすいよう一塁付近を硬くしたりと微調整にも対応。タイガースの栄光を陰で支えてきた。

 一方、造園業務では神戸布引ハーブ園(神戸市中央区)や阪急西宮ガーデンズ(西宮市)など多くの施設の植栽管理や施工などを担い、売り上げはグラウンド整備部門の約3倍。整備の技術も生かし、造園会社では珍しく、グリーンスタジアム神戸(現ほっともっとフィールド神戸=神戸市須磨区)の内野造成など球場の施工にも携わる。甲子園のツタの管理も業務の一つだ。

 高い整備技術は、13年から甲子園以外にも本格的に“輸出”している。ウインク球場(姫路市)や楽天生命パーク宮城(仙台市)などは職員が常駐。企業や学校のグラウンドにも出向く。甲子園に近い練習環境を求め、九州や東北の高校などの注文もあるという。

 同社の久保田晃司社長は「長年の甲子園の整備で有名にしてもらえて、造園のクライアントからの信用にもつながっている。造園の技術も同じようなブランドに高めていきたい」と語る。

https://www.kobe-np.co.jp/news/hanshin/201812/0011934282.shtml