声優は、かつてアニメや洋画の吹き替えなど、裏方の仕事だった。今や紅白歌合戦、バラエティー番組、実写映画への出演など多様化している。そんな声優業界で“日本一忙しい声優”といわれるのが浪川大輔(42)だ。

 子役時代から数え切れないほどの声優キャリア以外に、歌手デビュー後は瞬く間に横浜アリーナを埋め尽くし、実写映画「Wonderful World」(2010年)では役者兼監督を務めた。今年はドラマ「声ガール!」(テレビ朝日系)に本人役で登場。多彩な才能でファンを魅了し続ける。

 そんな浪川は前事務所から独立して4年余り。現在は自身で声優事務所「(株)ステイラック」を設立し、役者と社長業を兼任している。声優は声のみの仕事ではなく、タレント活動など芸能人との仕事に垣根がなくなってきたが、芸能事務所と声優事務所の違いは何なのか?

 浪川は「一番の大きな違いはギャランティーの割合だと思います。基本的に歩合制で、声優事務所はマネジメント料が少ない。そして、声優業界のほうが自由度が高く、実力主義なので、ネームバリューがあれば事務所に所属せず、個人で活動する方も多いと思います」と語る。

 声優業界を客観視する一方で、後進の育成にも携わる浪川。ただし、「バラエティー番組に出たい」「ステージに立って歌って踊りたい」という声優志望者はマイナスのスタートだと説明する。

「時代が変わっても、求められる声優は昔と変わりません。まずは、お芝居を勉強して、しっかりと基礎を作ってほしい。それに付随して自然と仕事がメディアミックス化していくんです」

 そんな浪川にとって声優とは?

「今は声以外の仕事も多いのですが、声優をやってる時が一番、落ち着きます。自分の中心に声優があるから、どんな仕事でもできるんです」

 浪川が変わりゆく声優業界をけん引していく。

2018年12月18日 11時00分
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