J1ジュビロ磐田は8日、J1参入プレーオフ決定戦でJ2東京Vと対戦する(ヤマハ、午後2時)。J1最終節で川崎に敗戦後、クラブはすぐに東京V戦まで4日連続での完全非公開練習を発表した。メディア取材もNGだ。名波浩監督(46)が就任した2014年9月以降、ファンにもメディアにも公開が原則だった。担当の山田豊記者が指揮官の真意を探る。

 異例中の異例だ。名波監督は14年9月に就任以降、原則練習をファンに公開。メディアもほぼ全練習を目にしてきた。「(J2だった)就任当初は地獄。バラバラで仲間意識もチーム愛もない、異常な空間。非公開練習が多く、何をしてもいいような空気だった。まず練習を公開した。視線を感じ協調性、チーム愛、仲間意識を植え付けさせた」という理由からだ。

 サッカー解説者時代、南アW杯を取材した。「準優勝したオランダ代表は、セットプレーを含め、練習を全て見せていた。我々も、非公開で格好つける必要はない」。マスコミ従事経験から「メディア発信する環境に身を置いていることを自覚させた」と聞いたことがある。

 昨年末、同じ敷地内で練習するラグビーのトップリーグ・ヤマハ発動機の清宮克幸監督(51)と対談した時のこと。FB五郎丸歩(32)が活躍した15年英ラグビーW杯後、1000人以上のファンが訪れた。「ファンが見ているのは五郎丸だけど、他の選手が一生懸命やるようになった。ファンの目は大事」と話したことに名波監督はうなずいていた。

 だが今回、信条を覆した。磐田は3バックと4バック併用する。戦況によって使い分け、多くの選手が複数ポジションでプレーできる。キャンプから誰が出てもいいように、実戦形式の練習や紅白戦でも常にチーム内競争を徹底させている。東京Vは磐田攻撃陣を最大限に研究してくるだろう。短期決戦だけに、J2相手とはいえ、気は抜けない。

 指揮官は天才肌のイメージが強いが、対戦相手のボールタッチ数を事細かに数え、各試合の審判の判定基準までチェックする理論家。選手の性格を熟知し、士気を上げるのも上手だ。“名波のカーテン”は、この一戦にかける最終奥義。8日は集中力と気合の入った磐田イレブンが見られるはずだ。

12/6(木) 6:10配信
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