オリックスから国内フリーエージェント(FA)権を行使していた西勇輝投手(28)の阪神入りが5日、決定的となった。
プロ入り通算74勝の右腕を巡っては、残留を求めるオリックスのほか、阪神、ソフトバンク、DeNAが争奪戦に参戦。
各球団と複数回の交渉を済ませた状況だが、阪神は近日中に3度目の交渉を行い、矢野燿大監督(50)が直接出馬して口説き落とす可能性が高くなった。

西は11月7日にFA宣言し、阪神とはすでに2度、交渉した。4年契約を提示されたが、条件面での強い要望は封印。
「自分をどれだけ必要としてくれるか、という言葉をいただきたい」と、「誠意」が決断のポイントになると強調してきた。
4年契約を提示した交渉役の谷本副社長からは「タイガースとしては(投球の)中身をしっかり見ています」と、勝敗数に表れない安定感を高く評価されていた。

最近5年で4度の2ケタ勝利。故障が少なく、1年を通してローテーションを守れる右腕への注目度は、FA宣言当初から高かった。
特に資金力に勝るソフトバンクは、阪神をはるかに上回る好条件を提示。当初の4年総額16億円超から、最終的には同20億円超にまで引き上げていた。
さらに王球団会長も獲得を熱望。3年連続日本一へ、必要不可欠な戦力であることを熱く訴え続けていた。

一方で西はプロ入りから10年間、オリックス一筋でプレー。
「僕を育ててくれたのはオリックスですから」と恩義や愛着も強く、11月28日には自身の公式ブログで「本当に自問自答しています。
一度きりのプロ野球人生なので…」などと悩める胸中を明かしてきた。この日は大阪市内で、契約している用具メーカーと打ち合わせ。
自身の去就については「しゃべってもいいことがないので」と語るにとどめ、明確にしなかった。

阪神にとっては、大きな戦力を迎え入れるまであと一歩の状況だ。
通算74勝の右腕はエース格としてはもちろん、小野、才木ら将来性豊かな先発陣の手本になれる存在。しかも28歳と若く、プロ選手としてまだまだ伸びしろがある。
6日に50歳の誕生日を迎える矢野監督もかねて「前に進むという感じであれば。もちろん、喜んで行かせてもらう」と直接出馬には前向きだった。
争奪戦が最終局面を迎えた段階で、指揮官自らが交渉の席につく効果は計り知れない。球団を挙げて恋人を口説き、西のハートをたぐり寄せる。

 ◆西のFA宣言からの経過

 ▽11月7日 オリックス球団事務所を訪れてFA申請書類を提出。「他のチームの話を聞きたいというのが素直な気持ち。チャンスをしっかり使っていきたい」

 ▽同15日 DeNA、ソフトバンクと非公開で交渉

 ▽同16日 阪神と非公開で交渉

 ▽同20日 ソフトバンクと非公開で2回目交渉。条件上積み

 ▽同22日 オリックスと残留交渉。湊球団社長が直接出馬

 ▽同24日、阪神が2度目の入団交渉

 ▽同25日 オリックスのファン感謝イベントに参加。「そろそろ決めたいなと思います。方向性は決まってきたので」

 ▽同28日 自身の公式ブログを更新。一部報道で阪神移籍を決断したと報じられたことに「現時点で決断していることは何一つありません」

 ◆西 勇輝(にし・ゆうき)1990年11月10日、三重県生まれ。28歳。菰野高から2008年のドラフト3位でオリックス入団。
12年10月8日のソフトバンク戦(ヤフーD)でノーヒットノーランを達成した。14年には球団新記録の開幕8連勝。
14年の日米野球、15年のプレミア12で日本代表。通算成績は209試合、74勝65敗1セーブ、防御率3.30。181センチ、80キロ。右投右打。既婚。今季年俸1億2000万円。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181206-00000042-sph-base
12/6(木) 3:03配信