・キルギスの特長を誤解しているプレビュー情報が多々あった

キルギス戦は、試合前からいろいろな情報が飛び交っていた。
 
「対アジアの試合」「引いた相手をどう崩すか」「セットプレーが有効だ」「日本はこういう相手に苦戦する」
 
 ザッと眺めていたが、これらのプレビュー情報には違和感を覚えた。
 
 今回の対戦相手であるキルギスは、ウズベキスタン、トルクメニスタン、タジキスタンらとともに、旧ソ連を形成した中央アジアの一国だ。この地域は、レスリングやクラッシュ(柔道に似たウズベキスタン発祥の国技)など、格闘技の競技人口が多く、人気もある。

日本代表と対戦してきたウズベキスタン代表を思い浮かべても、その面々はガチッと幹が太い肉体を誇っていた。サッカーにおいても、フィジカルパワーを生かした激しい球際を仕掛けてくる。
 
 そして、1対1の強さを押し出す反面、人に釣られる傾向があり、カバーリングは遅い。相手の速い連係について行けず、あっさりと裏を取られる失点が、中央アジアのチームには強く見られる。強豪ウズベキスタンでさえ、過去のアジアカップではそういう脆さを何度も見せてきた。
 
 彼らはベタ引きの戦い方を好まない。どんどん球際に飛び込み、戦い、スペースを空けてくれる。今回見たキルギスも、そのイメージ通りの相手だった。アグレッシブな強さはあるが、スペースを空けるので飛び出しやすい。裏も取りやすい。「引いた相手をどう崩すか」「セットプレーが有効だ」「日本はこういう相手に苦戦する」と、試合前からいろいろな観測が出ていたが、どれもこれも「アジア」を一括りにした、大雑把な見方に思えた。
 
 まるでキルギスというより、東アジアや東南アジアをイメージしたもの。

たとえば、ザックジャパン時代の北朝鮮戦(1−0)、ハリルジャパン時代のシンガポール戦(0−0)など、東アジアは一般的に組織力があり、粘り強く、スペースを与えてくれないので、確かに崩すのは大変だ。

高さがないので、コーナーキックが有効になる。しかし、キルギスはそのような特徴ではない。東側のアジア地域に対する苦戦のイメージを、全部「アジア」と大雑把に引っ張り、キルギス戦にも持ち込まれた。しかし、中央アジアに対するプレビュー情報としては、違和感が多々あった。

つづく

11/21(水) 18:02配信 サッカーダイジェスト
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181121-00050553-sdigestw-socc