人気コラム「英国人の視点」などを執筆するショーン・キャロル氏。過去5年間にわたり発表してきたコラムやレポートを厳選してまとめた1冊『英国人から見た日本サッカー “摩訶不思議”ニッポンの蹴球文化』が好評発売中。そこで、著者であるショーン氏に改めて“日本サッカーのあれこれ”についてインタビューを敢行。その第1回となるテーマは、「ここが変わってるね、日本人サッカー論」。(文:三谷悠)

●好きなのはチーム? 選手?

――ショーンさんの著書『英国人から見た日本サッカー “摩訶不思議”ニッポンの蹴球文化』でもいくつか指摘されていますが、サッカーの母国イングランド人の目から見ると、少し“奇妙”なサッカー文化が日本にはあるようです。

「イングランドには特定の選手のファンという人はあまりいません。たとえば、デイビッド・ベッカムが他のチームのサポーターから攻撃されたら、マンチェスター・ユナイテッドのファンは彼を守るけど、彼個人のファンという人はほとんどいない。もちろんカッコいいから好きっていう人や、その選手の性格やキャラクターが好きでファンになる人もいるけど、全体的には相当少ない。

この本の中で、セレッソ大阪の柿谷曜一朗がFCバーゼルに移籍したときの退団セレモニー(2014年)を批判的に書きました。イングランドでは選手に対して感謝の気持ちはあっても、ここまでエモーショナルなイベントは行いません。そこは変だと思ったし、本当にビックリしました。

プレミアリーグは世界で一番人気のあるリーグだから、たとえばニューカッスルからレアル・マドリーに移籍する選手がいたとすれば、どちらかと言うとファンは怒ります。もちろんレアル・マドリーのほうが格上だけど、ファンにとってはニューカッスルが一番大事なチームだし、「なぜ移籍するの?」という気持ちになる。

マンチェスター・ユナイテッドでもベッカムがレアル・マドリーに移籍した際、サポーターは『ありがとう。頑張ってね』で終わりです。もちろん優れた選手が引退するときには、感動的なセレモニーをすることもあります。ただシーズンが変わるときに選手が移籍するのはサッカーではよくあること。日本とイングランドで、そこは大きな違いですね」

11/9(金) 10:20配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181109-00010001-footballc-socc

写真https://amd.c.yimg.jp/amd/20181109-00010001-footballc-000-1-view.jpg

つづく