岩手競馬で出走馬から3回、禁止薬物のボルデノン(筋肉増強剤)が検出された問題に関し、運営団体の県競馬組合の管理者でもある達増拓也知事は8日の定例会見で「単年度で赤字にしないのが岩手競馬の原則」と述べ、今年度収支が赤字になれば競馬事業を廃止するとの見解を示した。東北で唯一の地方競馬が存廃の岐路に立たされている。

 同組合は平成18年度に、多額の累積赤字を解消するため、単年度収支で赤字にならないことを条件に県と盛岡市、奥州市から計330億円の融資を受けた。会見で、達増知事は「管理者としては、定められたルール以外のルールに従うことはありえない」と語った。

 組合によると、2件目のボルデノン検出の発覚後、9月22日のレースを取りやめた際の損失額は約3100万円。今回の事態を受け中止となった10〜12日(水沢競馬場)分では約7900万円とみている。

 組合は基金から1億円を切り崩して厩舎の監視カメラ(約150台)増設や警備員の増員などの対策を進めているが、レース中止が長引けば、経営へのダメージはさらに拡大する。達増知事は「さまざまな経営努力を行って本年度の黒字達成を目指す」と強調した。

 組合によると、3頭目のボルデノン陽性馬が出た厩舎に監視カメラが設置されたのは10月23日だったが、稼働したのは今月6日。陽性馬が出走したのはこの間の10月28日だった。ボルデノンの国内での製造・流通はしていないという。

11/9(金) 7:55
産経新聞
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