故障者特例措置により、今季国内フリーエージェント(FA)権を取得した阪神・上本博紀内野手(32)が権利行使を前提とし、球団側と話し合いを重ねていることが30日、分かった。
FA宣言は濃厚だが、残留も視野に入れての行使とみられ、阪神サイドは3年を基本線とする複数年契約を提示し、慰留に努める。

心のハリは揺れている。ただし、プロ野球という厳しい世界において、自分の評価を知るチャンスでもある。
だから、市場に出てみる。上本が冷静に自分を見つめ直した上で、来季に臨むことが明らかになった。

上本は5月5日の中日戦(甲子園)で二盗した際に左膝を負傷。6月に左膝前十字靱帯(じんたい)の再建術を受けた。
FA権取得まで必要な日数には足りなかったものの、故障者特例措置により、クリア。
今月23日に日本野球機構(NPB)より有資格者として公示された。

複数の球団関係者によれば、すでにティー打撃や外野でのノックなど解禁している上本は、
FA権を行使する気持ちをほぼ固めている中で球団サイドと話し合いを重ねているという。
矢野新監督も就任会見翌日の今月16日に鳴尾浜を訪れ「どうするかは上本次第だけど。
俺の思いを伝えないと」と“残留交渉”を行ったが、ある関係者は「他球団の評価を聞いてみたいという気持ちが強いようです」と明かす。
ただし、宣言残留を視野に入れてのFA宣言となりそうで権利行使即、他球団移籍などではない。

上本は権利行使についてこれまで「何にもいえない。今はリハビリをしっかりやることです」と明言を避け続けている。
今季は故障するまで20試合で打率・422、1本塁打、6打点。
守備面も本職の二塁だけではなく、外野も可能。走塁センスも光る。
今季年俸は4300万円で、年俸ランクはC(チーム日本人選手で11位以下)とみられる。
FA移籍しても人的、金銭補償は発生せず、すでに国内の複数の球団が獲得に興味を示している。

その一方で、阪神残留となれば糸原や大山ら若手の成長株と激しいレギュラー争いという道が待っている。
残りのプロ野球人生。何が正解なのか、熟考する。すべての条件を土俵に乗せ、上本自身が決断することになる。

もちろん、阪神サイドからすれば上本流出危機には変わりないため、さらに気を引き締めて、慰留に努める。
谷本副社長兼本部長は常々「こちらとしても全力で残留要請している」と話している。
これまでの条件提示についてはカーテンの向こうだが、球団幹部によれば3年を基本線とする条件提示で誠意を示している。

FA権行使の意思を球団に通知するのは日本シリーズ終了翌日から土、日、祝日を除く7日間以内。
広島とソフトバンクの決戦が熱を帯びている中で刻一刻と“Xデー”は近づいている。
FA宣言、そして、残留か移籍か。上本も阪神も、これにより大きく変わる。決断の11月がやってくる。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181031-00000045-sanspo-base
10/31(水) 7:00配信