「公害の原点」といわれる水俣病を世界に伝えた著名な米国人写真家の故ユージン・スミスさん(1918〜78)を、俳優のジョニー・デップさんが演じる映画制作の計画が進んでいる。米映画関係者が熊本県水俣市を訪れ、水俣病患者らに制作の意向を伝えた。

 スミスさんは第2次世界大戦中、従軍カメラマンとして沖縄などの戦地を踏み、71年から3年間、妻のアイリーン・美緒子・スミスさん(68)と水俣に滞在。母に抱かれて入浴する胎児性水俣病患者の上村智子さん(77年に21歳で死去)らの撮影に共同で取り組み、集大成の写真集「MINAMATA」で世界に衝撃を与えた。今年はスミスさん生誕100年にあたる。

 アイリーンさんや米映画制作会社の関係者が9月に水俣市を訪れ、智子さんの父好男さん(84)や、胎児性患者の坂本しのぶさん(62)らと面会。坂本さんは「本当のことを伝えてほしい」などと伝えた。

 年明け以降、国内外で撮影が本格化し、水俣の風景も盛り込まれる見通し。アイリーンさんは「ジョニー・デップさんの演技力で、ユージンのユーモアあふれる人格とジャーナリズムへの熱意を世界に知らせ、水俣の今と世界中の公害と闘う人々に光を当ててもらいたい」と話している。(奥正光)

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