昨年11月リリースのラストアルバム「Finally」が235万枚を売り上げ、今年8月末に発売したライブDVD&BD「namie amuro Final Tour 2018〜Finally〜」は累積合計約170万枚を突破した。引退した歌手の安室奈美恵さん(41)をめぐる景気のいい話だ。

 だが、「音楽で食えないのは当たり前になりつつある。手を変え、品を変えてレコード会社は当面食える。だけど、CDを購入する高齢者がいなくなれば、あっという間に業界は縮みますよ」

 元外資系大手レコードメーカーの宣伝プロモーターはそう予言する。

 「CDが売れていない。ところが音楽業界の中には『日本はまだ、アメリカに比べればCDが売れている』と危機意識の薄いことを平然と言い放つ、終わった人がいます」とため息をつく。

 さらにパッケージ(商品)が売れない時代に期待された音楽配信業者のダウンロードサービスもすでに頭打ち。今の主流は定額を支払うことで聞き放題のストリーミングサービスだという。

 「ストリーミングサービスがビジネスモデルとして成立するということは、売り上げが立っているということ。ところが売り上げは、単純に再生回数の多い少ないで分配される。当然、英語圏の楽曲のほうが巨大なマーケットを持っていることになる」と前出・元宣伝プロモーター。

 日本語という狭いマーケットで、ストリーミングサービス時代を生き抜くのは経済的に困難だ。

 あるレコードメーカー社員は「ミュージシャンを目指す若者は、皮膚感覚で減っています。持ち込みも以前ほど多くないし、プロを目指すというより楽しみでやっている人が増えていますよ」と異変を察知する。

 希望のない業界に人材は集まらない。やがて音楽業界は枯れた泉をわずかなアーティストがつつき合う悲惨な場になり果てているかもしれない。

 作曲家の故平尾昌晃さんの遺産相続騒動が世間を騒がせたが「現在1億2000万円の印税収入があるから、今後著作権で保護される50年間で総額60億円とはじき出されたが、それは夢物語」と前出の元宣伝プロモーターはばっさり。

 熱いファンに支えられた安室のような勝ち組が生まれにくい時代だ。

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