井上はカリスマになれるのか―米記者を直撃

ボクシングのWBA世界バンタム級王者・井上尚弥(大橋)はワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)1回戦で元WBA同級スーパー王者フアン・カルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)をわずか70秒でマットに沈めた。戦慄のKO劇を見せつけた井上は、次戦は来年3月に米国での開催が有力。世界的な評価を受ける「The Monster」だが、実際に海外の記者からはどう見られているのか。「THE ANSWER」では米紙「ロサンゼルス・タイムズ」でボクシングを取材するディラン・ヘルナンデス記者を直撃。リアルな声を聞いた。

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 わずか70秒で難敵パヤノを仕留め、デビューからの連勝を17に伸ばした怪物。ヘルナンデス記者は、25歳とまだ若く、今後ピークを迎えるであろう井上の将来の可能性にも太鼓判を押した。だが、世界的なスターになるためには乗り越えなければハードルがあることも指摘した。

「イノウエは世界のトップ5に入るよ。ただ今はバンタム級でしょう。この階級で全員倒してもスターにはなれないかもしれない。パッキャオはデラホーヤを倒してスターになった。スターになるには、すでにスターになっている人を倒す必要がある。ただ自分の階級にいないかもしれない。運もあるよ。スターになるには強いだけじゃなくて人気も必要。イノウエのプロモーターとしてはそこが一番難しい。相手を作らなきゃいけない」

 フィリピンの英雄で6階級制覇王者のマニー・パッキャオも“ゴールデン・ボーイ”オスカー・デラホーヤを倒したことで真のスターとなったことに言及。しかし、井上の当面の対戦相手には、強豪はいてもスターと言える選手は不在だとしている。

井上の知名度は米国でも抜群「日本よりあるんじゃないかな」

「今はボクシング全体にスターがいないよ。トップはロマチェンコ、ガルシア、クロフォードだけど、3人とも人気がない。ホプキンスもメイウェザーもデラホーヤと試合をしてスターになった」

 現在のボクシング界に君臨する世界最速3階級制覇のワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)、4階級制覇王者のマイキー・ガルシア(米国)、スーパーライト級4団体統一王者・テレンス・クロフォード(米国)らは圧倒的な強さを誇るが、カリスマ的な人気があるわけではないと指摘した。

 井上の米国での人気については「日本よりあるんじゃないかな」とし、「米国のボクシングファンはみんな知っている。だけど、今のイノウエの場合はただ強いボクサー。まだ、キャラやパーソナリティは伝わっていないよね。昨年ロスに来たでしょ。何かを売り物にしなきゃいけない。KOするパワーが一番の魅力だけどね」と語った。

 世界的なスターになるには、圧倒的な強さに加えて、さらにファンを魅了する“何か”も必要だとヘルナンデス記者は指摘。来年3月に予定される、準決勝の米国再上陸でファンを熱狂させることはできるか、スーパースター不在と言われる今のボクシング界の中でカリスマとなり得るのか。期待と共に熱い視線を送っている。

THE ANSWER編集部
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