ボクシングのWBA世界バンタム級王者・井上尚弥(大橋)は7日、横浜アリーナで行われるワールド・ボクシング・シリーズ(WBSS)バンタム級
トーナメント1回戦で元WBA同級スーパー王者フアン・カルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)戦を迎える。世界最強王座決定戦のプロモーターを
務めるカレ・ザワーランド氏が「THE ANSWER」で日本メディア初となる単独インタビューに応じた。

バンタム級では3団体のチャンピオンが集結したが、WBC王者は不参戦となった。全3回に渡るインタビュー第2回は、3月の山中慎介(帝拳)との
WBCタイトルマッチで、体重超過で王者剥奪となったルイス・ネリ(メキシコ)の参戦要求を拒否していたことを明かした。

5日に都内で行われたWBSSシーズン2開幕の記者会見の最後に、ザワーランド氏はパヤノがバックステージでペットボトルの水を飲み干していた
エピソードを披露。ファイターにウェートを作ること、過激な減量方法を採用しないことを強調していた。大物プロモーターにはボクシング界を
震撼させたネリの騒動が念頭にあった。

「確かにルイス・ネリの問題に関連することです。我々は以前、ネリの参加を検討したこともあったのです。彼もキャラクター的に明るい。私たちは
才能あふれるファイターを求めていますから、その部分は問題ない。そして、彼はWBSSに参加したいと希望してきました。ですが、我々の答えは
明確でした。ノーです」

参加8選手の発表前、ネリ参戦はメディアで浮上していた。ザワーランド氏はネリ陣営からの今大会参戦要求が届いていたが、これを一蹴したことを
明らかにした。メキシコの実力者に対する門前払いの理由は明確だった。

「なぜなら、彼は十分ではない。信頼に値しないからです。犯罪者に例えるとしましょう。彼は罪を犯して、刑期は終えています。彼の資格停止期間の
長さが妥当だったのかどうかを決めるのは我々ではありません。それぞれの団体の役目です。資格停止期間が終われば、ボクシングをすることは
自由です。しかし、我々は彼の資質、そして、経歴に目を向けました。我々としては彼はウェートを作らないだろう、という結論を下しました」

ネリが参戦すれば、再び体重超過を犯すとWBSSは判断したという。

ネリは過去に2度スキャンダルを起こしている。昨年8月の当時WBC世界バンタム級王者の山中戦で4回TKO勝ちを収めたが、翌月にドーピング検査で
禁止薬物ジルパテロールの陽性反応が出た。今年3月の山中との再戦では前日計量で118ポンド(53.5キロ)の規定を5ポンド(2.26キロ)も超過。
123ポンドを計測し、試合前に王座を剥奪されていた。

ネリは2回でTKO勝ちを収めたが、WBCから無期限資格停止処分を言い渡された。その後、無期限資格停止処分が6か月に変更されたため、
10月開幕のWBSSには間に合ったが、ザワーランド氏は問題児の参戦を断固拒否した。

「確かにウェートに関しては計量の瞬間までわかりません。誘惑にケーキ1個でも口にしてしまえば体重超過という厳しい世界です。しかし、ネリは
(山中戦で)一度ウェートを作りませんでした。そして、他の一度はウェートを作りましたが、それはファットストリッパー(筋肉増強剤)によるものです。
彼はウェートを作るかどうかという賭けがあるなら、私自身も“作らない”の方に賭けたでしょう。それが決定的な要素です。彼はリスクです。
モハメド・アリの名前をかけたトロフィーとWBSSのブランディングを汚すという判断です。スポーツの世界にドーピングの介在する余地はないのです」

こう語る口調は厳しい響きを帯びていた。「神の左」と呼ばれたレジェンド・山中のラストバトルで2度に渡る違反を犯したネリ。WBSSという最強王者を決める
ボクシング界の最大の祭典に、自らの愚行が理由で立つことは許されなかったのだ。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181006-00039236-theanswer-fight
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