2018.10.2
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(左から)白鵬、元日馬富士、鶴竜が異例のそろい踏み(共同)
 貴乃花親方(46)の退職で、モンゴル勢による日本相撲協会支配が強まりそうだ。

 昨年11月の傷害事件の責任を取り現役引退した元横綱日馬富士のダワーニャム・ビャンバドルジ氏(34)が9月30日、都内の両国国技館で引退披露大相撲を行った。

 モンゴル勢が権勢を誇示。元日馬富士最後の土俵入りでは、白鵬(33)が太刀持ち、鶴竜(33)が露払いを務め、モンゴル出身横綱が異例のそろい踏みだ。

 一方、土俵入りを行った3横綱以上に観客の注目を浴びたのが、元横綱朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏(38)。
 「横綱になる人間は昼間の星ぐらいに少ないんだ」と元日馬富士をたたえたが、貴乃花親方の退職について質問しようとする報道陣には「大変だね。相撲協会はどうなるの? 日本には台風来るわ、モンゴルは雪降るわで…」と肩透かしを食らわせた。

 元日馬富士も「私はもう相撲協会を離れた人間。(貴乃花親方については)話す権利がありません」と封印したが、貴乃花親方の退職が正式に決まれば、日本相撲界はモンゴル勢の天下へ向かって加速する。
まず、先の秋場所で空前の41回目の優勝を果たした白鵬は、2020年東京五輪まで現役を務めたあと、日本人に帰化して一代年寄「白鵬」となることが既定路線。鶴竜もいずれ帰化申請を行う見通しだ。角界を離れた格好の元日馬富士も、伊勢ヶ浜部屋のコーチを今後も続ける。

 一方、相撲協会の重鎮理事たちはこれから世代交代の波にさらされる。尾車事業部長(元大関琴風)は22年、鏡山指導普及部長(元関脇多賀竜)は23年に定年。その後、現理事でただひとり元横綱の芝田山広報部長(元大乃国)を中心に次期理事長の椅子獲りゲームが始まるが、「いずれ白鵬理事長が誕生するだろう」というのが相撲関係者の一致した見方だ。相撲観を異にしていた貴乃花親方が去った今、さえぎる勢力は存在しない。

 貴乃花親方は1日になって「貴乃花応援会」の公式サイトに文章を寄せ、「ご心配をかけてばかりの人生で申し訳ない事ばかりです」とファンに謝罪。

 その上で貴乃花部屋で最初の関取となった貴ノ岩に対する特別な思いを明かしている。「相撲人とは国籍関係なく、人々から愛される人のこと。そういうことなんだよ、モンゴル人だから日本人だからは二の次であり、いずれ本国に帰ったならば、モンゴル国民の方々から必要とされる人になりなさい、そういう器量のある人になってもらいたいと、それだけを願いながら育ててきました」

 傷害事件で被害者となった貴ノ岩が、貴乃花親方の“遺児”として他のモンゴル勢との違いを示していけるか。(夕刊フジ編集委員・久保武司)