0001ばーど ★
2018/09/18(火) 12:48:13.89ID:CAP_USER9■ずっとずっと考えていた
ファクスをしてから1週間ほどたった7月のある日、突然、私の携帯電話に着信がありました。
すぐにかけ直すと「今代わります」と女性の声。やがてテレビや映画で聞き慣れた、あの声がしました。
「樹木希林です」
突然、ご本人が出たことに驚きました。芸能文化担当の記者でもなかった私は、樹木さんとお話ししたのはこれが初めて。こちらの緊張などお構いなしに、いつもの調子で樹木さんは話し出しました。
「どんなことを書けば良いのか、ずっとずっと考えていてお返事が遅くなっちゃったの。ごめんなさいね」
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■無力よね
樹木さんがマネジャーをつけていないというのは別の記事で読んだことがありました。山のように送られてくるファクスの1枚1枚を自分で読み、私たちの企画書に目を留めて下さったのだと思い、驚きました。
生きづらさを抱える若者へのメッセージという企画の趣旨を深刻に受け止め「難しい」と取材を辞退される方もいただけに、「今回も断られてしまうかな」という心配もよぎりました。だからこそ、続く樹木さんの言葉は意外なものでした。
「どうしたら伝わるのかしら。本当に無力よね、まったく書けないの」
申し込んだのはインタビューでしたが、樹木さんはその時すでに、自分でメッセージを書くことを決めていたようです。
今思えば、体が本調子ではない中、自身のメッセージを伝える方法を考えてくれていたのかもしれません。
一切の妥協をせず、若者へのメッセージに向き合ってくれた樹木さんは、次のように続けました。
■死んだ後の世界はすばらしい?
「死に向かっている人間は、考えの中に入り込んでしまって、どうしたら伝わるのか分からなくなっちゃうのよね」
「国は何か支援をしているのかしら」
私と話をしているというよりも、その向こうに多くの今まさに苦しんで、悩んでいる若者が実際に見えているかのようで、「どんな言葉が届くのかしら」と途方に暮れた話し方でした。
そんな樹木さんの口調が突然変わります。きっぱりと「でも、死んだ後の世界はすばらしい、というふうに、私は捉えていないの」と言いました。
「楽になるっていうでしょ」「私はいろんな本を読んできたけど、生きているときより大変らしいのよ、脅しみたいになっちゃうけどね」
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■あとはお任せします
そこからの樹木さんは晴れ晴れとした声でした。
「じゃあ、今日中にファクスをペラっと1枚送りますから。使うかどうかはそちらで決めて。あとはお任せします」「原稿料はいりません」
こう矢継ぎ早に話して、電話を終えてしまいました。そして本当にその日のうちに、ただ1枚、筆書きで自画像入りのファクスが1枚、届きました。
◇
昔からの本を読むと およそ 同じことを言っている
自殺した魂は 生きていた時の 苦しみどころじゃ ないそうだ
本当かどうかは わからないけど
信用している
私は弱い人間だから
自分で命を絶つことだけは
やめようと 生きてきた こんな姿になったって
おもしろいじゃない
KIKI KILIN 75才
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>>2以降に続く
9/18(火) 7:00
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