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テニスの全米オープン女子シングルス決勝で主審に抗議するセリーナ・ウィリアムズ選手=米ニューヨークで9月8日、AP

 大坂なおみ選手が米国のセリーナ・ウィリアムズ選手に勝った全米オープン女子シングルスの決勝戦について、試合から数日たった今も、熱い議論が続いている。セリーナは審判の性差別の犠牲になったと主張する派と、セリーナの行動はプロの取るべきものではないと批判する派の激論だ。

 セリーナは、禁止されているコーチのアドバイスを受けたとして審判に警告され、次にラケットを地面にたたきつけて1ポイント減点された。さらに審判を「ウソつき」「盗人」と呼び、「生きている限り私の審判をさせない」などと脅したため、ペナルティーとして1ゲームを失った。セリーナは、男性選手が同じことをしてもこれほど厳しい制裁を受けないとし、性差別だと主張した。

米国の世論はセリーナびいき

 米国メディアの多くは当初、セリーナ敗北の一因をつくった審判のカルロス・ラモス氏の判断を批判し、セリーナの肩を持った。

 米紙ワシントン・ポストのスポーツコラムニストは8日、審判を「女性に厳しく抗議されることを受け入れられず、大坂とセリーナの晴れ舞台を台無しにした」と批判した。

 女子テニス協会(WTA)や米国テニス協会(USTA)も直後にセリーナ支持を表明した。USTAのカトリーナ・アダムス会長は大坂のいる表彰式で「これは我々が期待していた終わり方ではなかった。セリーナ、あなたはチャンピオンの中のチャンピオンだ」とセリーナをたたえた。

 WTAを設立した米国女子テニスの大御所、ビリー・ジーン・キングさんはこうツイートした。「女が感情的になると、ヒステリーという烙印(らくいん)が押されて処分される。男なら率直で済まされる。ダブルスタンダードを告発したセリーナ、ありがとう」

 こうしてセリーナ称賛の世論は圧倒的になった。ポルトガル人の審判、ラモス氏は試合の夜、市民に抗議されることを恐れて、ニューヨークのホテルから一歩も外に出なかったという。

つづく

2018年9月14日 毎日新聞
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