インターネットを使ったスポーツ・コンテンツの有料配信事業「DAZN(ダゾーン)」を展開するパフォームインベストメントジャパンは9月6日、日本に上陸して2周年を記念して事業説明会を開催した。

 同社は2016年7月に、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)と10年間で放映権料2100億円の独占放映契約を結び、これをキラーコンテンツとして日本でのインターネット有料配信事業をスタートした。1年後の2017年8月には会員数100万人突破を発表、コンテンツもプロ野球や大リーグ(MLB)、テニス、ボクシング、F1、バスケットボール、格闘技と拡大し、日本におけるスポーツ専門の OTT(オーバー・ザ・トップ)事業者として足場を固めている。

 説明会では今年後半からの目玉コンテンツとして、サッカーの「UEFAチャンピオンズリーグ(UCL)」独占放映と、ボクシングのWBA世界ミドル級タイトルマッチ「村田諒太vsロブ・ブラント戦」の独占中継を発表。UCLは長年、衛星放送「スカパー!」の看板番組だったが、今シーズンからDAZNが放映権を勝ち取った。UCL放映開始の告知キャンペーンには日本人の人気選手に加え、J1サガン鳥栖に移籍したばかりのフェルナンド・トーレス選手を起用、説明会にも登場してスピーチをした。

 公共インフラであるインターネットを使うOTTビジネスでは、従来の放送事業と異なり映像品質の確保が技術的に難しい。実際に、中継映像の解像度が急に落ちたり、時には止まってしまったりすることもある。「そうした状況があることはよく理解しており、アップグレードすべく莫大な投資をしている。もう少し待ってほしい」と、パフォーム・ジャパンのマーティン・ジョーンズ・グループディレクターは述べる。

 DAZNは、Jリーグはじめ各種コンテンツ見放題で月額1750円(NTTドコモ加入者は980円、いずれも税抜き価格)という低価格路線でスポーツファンの加入を増やした。一方、かつてはJリーグやUCLの独占中継でサッカーファンを取り込んでいたスカパー!も、天皇杯やルヴァン杯などのカップ戦放映に加え、今シーズンから日本人選手が多数活躍するドイツ「ブンデスリーガ」の放映権をDAZNから奪い返すなど、まだまだ白旗を上げる気はなさそうだ(スカパーのサッカーセット価格は2759円、ほかに基本料390円、いずれも税抜き価格)。成長が期待されるスポーツ専門チャンネルの主導権争いはしばらく続く。

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