たかがキャラメル、されどキャラメル。一粒一粒が職人の手造りだと聞けば、数粒に数百円を支払う価値もあろう。ご存じ、花畑牧場の生キャラメルである。
ところが、機械で造っていたからビックリ! それでもなお「手造り」だという主張に、2度ビックリ!

もはやタレントの副業の規模ではない。田中義剛社長(60)の花畑牧場の年商は、手元の資料では175億円(今年3月期)の一大ビジネスである。
8月12日放送のTBS系「坂上&指原のつぶれない店」に出演した田中は、経営する焼き肉店が不振の貴闘力に、
「お客さんを逃がさない3原則は、ここだけ、いまだけ、あなただけ」と、アドバイスした。

田中によれば現在の主力製品はチーズ。
地元の牛乳を使って「ここだけ」を演出し、「手造り」にこだわることで「いまだけ」「あなただけ」と訴え、お客の心をつかむ、というわけだ。

だが、花畑牧場の看板は、2009年に一大ブームとなった生キャラメルだろう。
急に膨らんだ人気は萎むのも早かったが、いまは安定して出荷されているようだ。HPを見ても、顧客心理のつかみ方には脱帽する。

生キャラメルについて
〈花畑牧場の“おいしい”は、「手で造る」ということ〉
〈焦げないよう約40分間手を休めることなく、煮詰めていきます〉
〈手間、時間、コストがかかっても、ひとつひとつ丁寧に作る事を選びました。手造りゆえに毎回同じ味を作ることが難しく〉
と自信満々に書かれている。

いま、生キャラメルには冷蔵タイプと常温タイプがあり、前者については、
〈口に入れた瞬間に溶け出す“食感”は、手造りだからこそできる「技」〉と強調。
むろん後者も
〈「手造り」ならではの、あっというまに溶けていく冷蔵タイプの生キャラメルと変わらぬ美味しさがお楽しみ頂けます〉と称揚。
うんざりするくらい「いまだけ」「あなただけ」と訴えるのだ。(略)

それにしても、事業が拡大しても「手造り」を続けられる秘訣はなにか。
生キャラメルを製造する花畑牧場の十勝第3工場で働くパート従業員に尋ねると
「銅釜を使って手で炊いていた作業を機械で行うようになって、パートの間でも“この造り方でどこが手造りなんだろうね”
“このままだとマスコミが取材に来るんじゃないか”と話していたんです。機械が入って味も変わりました」(略)

「3月ごろ、さらに3台の練機が導入され、以後手炊きは一切していません。
炊き場の担当は機械導入前は15人程度でしたが、いまは少ないと4、5人。10分程度ずらしながら4台すべてを稼働させ、
スイッチを入れて60〜70分ででき上がります。1台が1回転すれば、手炊きの6倍の量のキャラメルを造ることができ、
4台すべて1日8回転させるのが目標です」

まさか、という話だが。フジイ機械製作所の藤井康博社長に確認すると
「花畑牧場は手造りでやっていたんですが、機械でも味は変わらないとのことで、うちの機械を使ってくれています。
1台入れて、とてもよかったからと、全部で4台入れてくれました」
本当だったのだ。(略)

念のためにパッケージを確認すると、常温タイプには「手造り」の表記はないが、冷蔵タイプには明記されている。
まさか、箱詰め作業を「手造り」と呼んでいるのではなかろうが。ちなみに色や味については、
「特にメロン味は、機械で造るようになってから、薄い黄色だったのが茶色に変わりました。
昔から働いている人は、“機械と手炊きでは味がまったく違う”と話しています」。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180903-00547977-shincho-ent&;p=1