特定の話題に集中するテレビに辟易

8月半ばをすぎてようやく減ったが、7月後半以来ずっとボクシング連盟の山根会長の話題でテレビが賑わっていた。告発が有り、問題もあったようなので伝えるのは当然だろうが、一時期は朝から晩まで山根会長の顔が映し出された印象で辟易した。
掘れば様々な問題が出てくるうえ、山根会長のキャラクターがツッコミどころ満載なので人目を引いたせいもあるだろう。この話題を扱えば視聴率もよかったに違いない。

ただいくらなんでも、と思う。いくら視聴率が取れるからといって、こんなに朝から晩まで扱うこともないのではないか。それにどうも、このところこの「朝から晩まで同じ話題」の傾向が高まっている気がする。
例えば一時期の不倫がそうだった。私は去年、こんな記事を書いている。

この時は、データで調べてもらうと明らかに2016年1月のベッキー騒動から格段に不倫報道が急増していた。
似た傾向が他の話題でも起きている気がする。最近では日大アメフト問題、少し前の相撲界のトラブルなどだ。この「特定の話題への集中」がここ数年顕著になっていることをデータで示せないか。

そこで今回も、テレビ番組の内容をテキストデータ化するエム・データ社に依頼し、数値を出してもらった。
同社はテレビでの話題ランキングを集計している。午前10時までの情報番組とワイドショーでどの話題が何時間取り上げられたかを毎日速報しているのだ。
そこでまず、そのデータを月ごとに集計してもらった。どの話題に放送が集中したか、朝の番組だけだがぱっと把握できるはずだ。
その結果がこれだ。月別のランキング1位の話題を表にしてみた。

普通は多くても10時間、20時間台だが時にある話題を異様に長時間とりあげることがある。そこで月40時間を超えた話題を赤く表示してみた。字が小さいので書き出しておく。

2015年
1月 イスラム国・日本人人質事件 59時間35分
9月 関東東北豪雨鬼怒川決壊   52時間11分
2016年
4月 熊本地震           105時間08分
6月 東京都・舛添要一知事辞職   55時間15分
7月 東京都知事選挙        49時間53分
9月 東京都・豊洲新市場問題    40時間33分
11月 米国大統領選挙トランプ勝利 45時間05分

いずれも”大きな話題”には違いない。豪雨や震災は長時間扱うべき話題だろう。ただ、2015年は2件だったのに対し、2016年には5件に増えた。この年から「集中砲火」的な扱い方が出てきた可能性はある。とくに舛添要一氏の政治資金の私的流用疑惑はマスコミの中で「炎上」したような取り上げられ方だった。

今度は同じく月別話題1位の2017年と2018年前半を見てもらいたい。

2017年は、40時間を超えた話題が一気に9件に増えた。ほとんど一年中、何かの話題に集中している状態だ。2018年も6月までですでに4件をカウントしている。これも書き出しておく。

2017年
1月 米国トランプ大統領就任     59時間35分
2月 金正男氏暗殺事件       46時間23分
3月 森友学園問題         89時間02分
4月 北朝鮮情勢・緊張高まる    52時間41分
8月 北朝鮮ミサイル・日本上空通過 50時間56分
9月 北朝鮮情勢・緊迫化      63時間42分
10月 衆議院選・自民大勝・希望惨敗 83時間47分
11月 横綱日馬富士・暴行騒動で引退 66時間06分
12月 大相撲・日馬富士暴行問題   52時間13分
2018年
2月 平昌五輪・メダル冬季五輪最多 168時間14分
3月 森友文書改ざん・安倍政権窮地 69時間01分
5月 日大アメフト部タックル問題  55時間17分
6月 サッカーW杯ロシア大会    79時間54分

注視すべき話題が多かったのもあるだろう。また今年は冬季五輪とサッカーW杯があったので特殊だったとも言える。
ただ2017年の春から夏にかけてここまで時間を割いて北朝鮮情勢を伝えるべきだったろうか。
また日馬富士の暴行事件は大問題だが、2カ月に渡って取り上げるものかも疑問だ。
こうして見ていくと、災害や国際的話題が続いたにせよ、2016年の舛添要一氏の一件をきっかけに「集中砲火」が顕著になったと言えそうだ。テレビは明らかに特定の話題に集中している。その傾向が高まっている。

https://news.yahoo.co.jp/byline/sakaiosamu/20180820-00093572/
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