「甘え以外の何物でもない」

名将・野村克也氏(83)は、高橋由伸監督(43)率いる巨人の現状をこう一喝する。

「高橋監督は野球を知っているのか? ということ。これまで何回も言ってきたが、外野手出身に名監督は生まれにくい。
野球用語に『ダイヤモンド』があるけど、大事なことは投手、捕手を含めた内野でやっているんだ。
一般社会でも仕事のできない社員は『外野に行ってろ!』といった具合に言われるだろ」

83歳となったいまも、ノムさんは巨人戦を中心に現場に足を運ぶ。ただ、「新聞の原稿に困る」というほど、中身のない試合内容に眉を顰める。

「正しい野球とは? と俺はよく考えるんだけど、それはチームに合った采配を振るうことだと思っている。監督は一日で3試合しなければいけないんだ。

まず試合前に相手のスタメンなどを見て、その日の戦況を予測する“想像野球”。次が試合中の“実戦野球”。そして試合後の“反省野球”。
だから、監督は一日に3試合。
そうしたことを考えている監督が、12球団でどれだけいるのか。

たとえば、初回にノーアウトで一塁の場面。巨人じゃ、ほとんどがバントだな。
これをどう考えるか? もしエース・菅野智之が投げているなら、バントもわかる。1点取れば勝てるとなるから。これが“想像野球”だ。

ところが高橋監督は菅野じゃなく、それほど信頼のない投手が投げていてもバント。
相手は、むしろワンアウトくれて喜ぶよ。プロというのは高校、大学、社会人の模範とならなければいけない。
こんな野球を見せて、はたして模範といえるのか。はなはだ疑問だね」

もうひとつ、ノムさんは巨人が勝ちきれない要因を「3捕手併用にある」と分析する。

「捕手はほかのポジションと比べて、育てるのに時間がかかる。
経験が重要視されるし、野球の試合における“脚本家”なんだよ。
つまり、野球というドラマを作っているわけ。その脚本家をまるで日替わりのように、ころころ代えてどうする。

リードや配球だってそれぞれ違うわけだし、投手だって慌てるよ。
捕手は、少々失敗に目を瞑ってでも、固定したほうがいい。優勝チームに名捕手ありなんだから」

巨人の捕手は大学、社会人出身ばかり。そのドラフト戦略にも苦言を呈する。

「これは俺の持論だけど、プロの捕手は高卒のほうがいいと思っている。
入団後、18歳から22歳が、いちばん野球を覚える大切な時期。
そこで大学や社会人に進んで違った考えを教えられると、忘れさせるのに時間がかかるんだ。

アマとプロの野球は違う。アマは一回負けたら終わりの明日なき戦い。プロはシーズンを通して結果を出すわけだ。
だからこそ、過去に名捕手といわれているのは、ほとんどが高卒。

まあ、いい捕手を育てれば、チーム作りの半分はできたと言っても過言ではない。それくらい重要なポジション。

その意味でも、巨人が捕手出身の村田真一をヘッドコーチにしたことはいいアイデアだと思う。ただし、彼に発言権があるかどうか」

ノムさんの視線は厳しい。 

(週刊FLASH 2018年8月21・28日合併号)

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8/10(金) 6:01配信