Netflix、Amazon プライム・ビデオ、Huluなど、気づけば世の中にあふれているネット動画配信サービス。
時流に乗って利用してみたいけれど、「何を見たらいいかわからない」「配信のオリジナル番組は本当に面白いの?」
という読者も多いのではないでしょうか。
本記事ではそんな迷える読者のために、テレビ業界に詳しい長谷川朋子氏が「今見るべきネット動画」とその魅力を解説します。

今回紹介するのは任侠ドラマ『日本統一』です。
もともと、パッケージ用のいわゆるVシネマとして制作された作品ですが、今年に入ってNetflix、Hulu、Amazonプライム・ビデオ、
U-NEXT、FOD、dTVといった定額制の大手配信プラットフォームを一挙に網羅、人気コンテンツとして注目されています。

■Vシネファンも納得の役者陣が勢ぞろい
既存のVシネファンも納得の役者陣がそろい、筆者のような入門者にも「試しに見始めたらやめられない」、わかりやすいストーリーが売りです。
とはいえ、好みが分かれるジャンルのヤクザもの。そもそもなぜ今、この作品に光が当てられているのでしょうか。その理由を探ります。

『日本統一』のタイトルにたとえピンとこない場合でも、Vシネファンでなくとも、演じる役者から入り込める余地があることがポイントです。
任侠映画を牽引してきた哀川翔さんや千葉真一さんが重要な役どころを押さえ、Vシネの帝王と言われる小沢仁志さんも登場シーンから存在感を放ち、
梅宮辰夫さんや津川雅彦さんといった大御所も登場します。(中略)

■「定額制配信」時代に起こった任侠バブル
このように作品の出口に広がりをみせているのは「定額制サービスの場合、試し視聴がしやすい。配信の時代を迎え、
手を出しにくかったジャンルの作品が気軽に視聴できるようになったことが大きいのでは」と、
オールイン エンタテインメントのコンテンツ事業本部部長の鈴木祐介氏が分析します。

鈴木氏は20年近くにわたってVシネ作品を取り扱っているなかで、視聴者層の変化も感じているそうです。
「Vシネのパッケージは40〜60代の年齢層が購買を支えてくれています。一方、配信では30〜50代がメイン視聴者。
新しい層も取り込むことができています。これまで90年代の後半にレンタルビデオの普及によってVシネブームが起こり、
現在は配信サービスの登場によって任侠バブルとも言える状況です」(鈴木氏)

そんななか、「ヤクザが背中を向けて死ぬ」「組長が夜中に一人でふらふら歩く」のようにリアリティに欠ける作品もあるようです。
それに対して『日本統一』は主役の本宮さんをはじめVシネを知り尽くした各役者陣から脚本や現場の動きについてアイデアが出され、
“ヤクザの基本のキ”が徹底されています。これに加えて、ヤクザ組織の徹底したタテ社会や他のシマとの交渉術、抗争戦略なども
描かれているのである意味ビジネスドラマのように楽しめることも特徴です。

オールイン エンタテインメントのコンテンツ事業本部で国内/海外運用を担当する鈴木雄太氏は
「本格派でもありながら、見やすさもあるということで、配信プラットフォーム各社に導入してもらっています。
今年6月から配信が始まったHuluでは邦画ランキングの上位に入っています」と説明します。

『日本統一』のいかにも男気のある仕草や人生観などはまるで90年代当時のドラマを見ているようで、時代と逆行した作品とも言えるのですが、
多様性あるコンテンツが受け入れられつつあるなか、新鮮に感じて案外どころか、ハマっている人が続出している理由がわかる気がします。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180804-00231052-toyo-bus_all&;p=1