■あの人はいま 元阪神タイガース 藤浪晋太郎さん(36歳)

2025年、日本シリーズ。 それを、TVで見つめる男がいた。
30歳で現役を引退した藤浪さんは今……

「あの頃は若かったですね(笑)」
若き日を回想する藤浪は、どこか寂しげだ。
「未だに昔の夢を見ることがあるんですよ。日本シリーズで俺が勝ち投手になって金本監督を胴上げする夢を」

大阪桐蔭高を卒業後、ドラフト1位で阪神に入団。大型本格派ピッチャーとして期待されたもののノーコン病とイップスを併発し期待を裏切り続け結果を出せぬままロッテにトレードされた。
心機一転パ・リーグでの活躍が期待されるものの、相変わらずの乱調癖が治らず3年で解雇となった。
その後、四国アイランドリーグの高知ファイティングドックスに入団し活躍が期待されたものの故障がちになり、目立った活躍はできず30歳の若さで引退を決意。
今は心理カウンセリング医院を営む傍ら、地元の少年野球団のコーチを勤めている。

●看板の屋号の文字は元阪神監督の金本知憲氏の手によるものだ
「いらっしゃい」。阪神電鉄西宮線甲子園駅東口から歩いて40分。「藤浪心理クリニック」のえび茶色の看板を目印に医内に入ると、白い白衣を着た藤浪さんの元気な声に迎えられた。

「去年の4月に開院しました。看板の『藤浪』という文字は金本監督に左手で
書いていただいたものだし、開院に合わせてスポーツ紙やテレビでも取り上げてもらった
おかげで、県外から通ってくださる患者さんが多かったのはうれしかったですね」

●とはいえ、その分、プレッシャーも大きかったという。
「精神を病んでいる人は飛行機に乗って東京の大病院に通院までする時代でしょ。
ボクが学んだ精神医療は独学なのが特徴だから、ちゃんと医大を卒業した医師に治療してもらえると信じ込んでる関西人にはモノ足りないようなんです。
それで怒られちゃったこともあるけど、それも修業のうち。我慢、我慢です」

●かつてのライバルで現エンゼルスの大谷翔平や、創価学会所属の田中正義のついて尋ねると……
「あいつら俺より下手だったんですけどね(笑) 」と、おどけ
「メンタルが大事だと思いました」
「怪我さえ無ければって…歯がゆいですけど。」
「今はもう現役に未練はありません。今度は、教え子で日本一を狙いますよ(笑)」

(写真)抗鬱剤を飲む藤浪さん。