食い違いのもう1曲「エリナー・リグビー」

ジョン
「最初の一行はポールで、残りは基本的にぼく。ポールは、結婚式の最中の教会にいるエリナー・リグビーというメイン・テーマだけを持っていた」
「ポールはこのテーマが手元にあって、手助けが必要なことを知っていながら、ぼくに詞をつけてくれと頼まなかった。そのかわりに、あの時『オイ、君たち、詞を書きあげちゃってくれよ』とぼくらに声をかけたのだ」
「差し迫って一曲作らなければならない状況だったので、そこにあったテーブルに一緒にいたロードマネジャーのマル・エヴァンズとニール・アスピナールと曲を書いた」
「それでも一部は(ポールと)一緒に書いたのだよ。彼は中間のところが書けなかった。ほら『Ah, look at all the lonely people』ってとこさ。
ポールとジョージ・ハリスンとぼくとでいろいろこねくり回している時、ぼくはトイレに行こうと思った。その時、誰かがそのフレーズを口にした。ぼくはふりむいて『それだ!』って叫んだのだ」。


ポール
「ロンドンに居を移した後、恋人だったジェーン・アッシャーの家の地下の音楽室でピアノに向かって書いた」
「ぶつぶつ言っているうちに、こんな言葉が出来上がった。『結婚式の終わった教会で米粒を拾う』。意識の流れではないけれど、この言葉が流れ出て、自然に出来上がっていた」
「結婚できそうにない、近所のオールドミスという設定をぼくは選んだ。それで、心寂しい人々の歌になった」
 「アイデアをまとめて、メロディーとコードをつけて、ジョンに見せた。歌詞は完成してなかったから、2人で作ったよ」
「ジョンがいくつか歌詞を手伝ってくれたけれど、8対2の割合でぼくが書いた作品だ」


 論争は続いている。でもいいではないか、どちらにしても素晴らしい作品をレノン=マッカートニーは残してくれたのだから。ポールの言葉で締めくくろう。「ぼくらが書いたすべての曲の中で、2人の記憶が食い違うものがたった2曲だなんて、喜ばしいことだよ」