『ジュラシック・ワールド/炎の王国』の独走が止まらない。先週末の土日2日間の動員は48万6000人、興収は7億5700万円。
日本全国の小、中学校が夏休みに入ったことで映画興行においても本格的なサマーシーズンが幕開けしたが、その書き入れ時に2位にダブルスコア近い差をつけての2週連続1位となった。公開から10日間の累計では動員240万人、興収35億円を突破。
もっとも、公開のタイミングから2週目がお盆休みに重なるという好条件があったとはいえ、公開翌週に公開初週の成績を上回った前作『ジュラシック・ワールド』の同時期に比べると、劇場の席にはまだ余裕がある状況。興収100億円突破は、ここからもう一段階ブーストがかかるかどうかにかかっている。

初登場2位となったのは細田守監督作品『未来のミライ』。土日2日間で動員29万5000人、興収4億円。これはちょうど3年前の2015年7月に公開された細田守監督の前作『バケモノの子』と比較して、興収比で60.0%の成績。
そのさらに3年前、2012年7月に公開された前々作『おおかみこどもの雨と雪』の初週成績とほぼ同じ水準にまで戻ってしまった。『おおかみこどもの雨と雪』はそれでも作品への高評価が口コミなどで広がって最終興収42.2億円まで伸びて、次の『バケモノの子』にいたっては最終興収58.5億円を記録。
金曜日の公開日からの3日間で興収5億円という数字、
そして公開早々から作品へ寄せられている厳しい声などもふまえて予測するなら、昨年同時期公開の米林宏昌作品『メアリと魔女の花』の最終興収32.9億円を超えるかどうかという結果になるのではないか。

 作品の評判が少々悪くても30億円前後の興収が見込めるのだから、夏休み前半に公開される東宝配給の全世代向け非シリーズものアニメーション作品の興行力(=スクリーンの占有率と維持率)の強さはさすがである(一方で昨年の夏休み後半に公開された『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』は『メアリと魔女の花』の半分以下の成績だった)。

しかし、言うまでもなくこの「夏休み前半に公開される東宝配給の全世代向け非シリーズものアニメーション作品」の枠は、2014年の『思い出のマーニー』まではジブリ作品、中でも宮崎駿監督作品が何よりも優先されてきた枠であり、そこで公開される作品はジブリ作品であっても非ジブリ作品であっても、「ポスト宮崎駿作品」としての資質とポピュラリティが問われることとなる。その機運は、現在のところ最後の宮崎駿作品となっている2013年の『風立ちぬ』の公開、及びその後の宮崎駿の長編監督引退宣言によって、さらに高まってきていた。

 あれから5年。「ポスト宮崎駿作品」を巡る状況は、刻一刻と変化してきた。2014年、ジブリで製作された最後の米林宏昌監督作品『思い出のマーニー』の失敗。2015年、細田守監督『バケモノの子』の健闘。そして、大激変が起こったのが2016年の夏から秋にかけてだ。観客の世代は限定されてきたものの、実はアニメーション監督として近年では宮崎駿に次ぐポピュラリティを獲得していた庵野秀明監督の実写作品(『シン・ゴジラ』)での大成功。
新海誠監督『君の名は。』の記録的な大ヒット。そして、宮崎駿の長編監督引退撤回とジブリの復活、2019年完成予定と言われている新作『君たちはどう生きるか』。そんな2016年の庵野・新海・宮崎の三大インパクトと比べると、2017年の『メアリと魔女の花』や今年の『未来のミライ』が世間に及ぼした波紋の小ささは、米林宏昌監督や細田守監督をすっかり「ポスト宮崎駿作品」戦線の脇役に追いやってしまったというのが正直なところだ。

 当初の予定通り、2019年に宮崎駿監督作品『君たちはどう生きるか』が公開されるかどうかはまだわからない。つい先日、庵野秀明総監督の『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が、東宝・東映・カラーの共同配給という前代未聞の拡大配給体制によって2020年に公開される予定であることが発表された。
もうしばらくしたら、新海誠監督の『君の名は。』に続く新作の報も届くことだろう。
すべては流動的ではあるが、数年後に「2017年と2018年は『東宝配給の非シリーズものアニメーション作品』が底を打った時期だった」と振り返られる日が来る可能性は高い。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180725-00010026-realsound-ent

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