https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-44933537

デイビッド・ボウイ16歳、初のデモテープが「古いパンのかご」に
2018/07/24

2016年に亡くなった英国出身の伝説的なロックミュージシャン、デイビッド・ボウイさんによる初のスタジオ録音と見られるデモテープが見つかった。英競売会社のオメガ・オークションズは23日、9月に英国内で競売にかけると発表した。デモテープが見つかったのは、古いパンかごの中からだったという。

英レコード会社デッカが採用しなかった1963年録音のデモテープでは、当時は出生名のデイビッド・ジョーンズを名乗っていた16歳のボウイさんが、初めて組んだバンドのザ・コンラッズと共に「I Never Dreamed」を歌っている。

デモテープは、バンドのドラマーだったデイビッド・ハドフィールドさんが屋根裏部屋で発見し、売りに出した。落札価格1万ポンド(約150万円)が予想されている。

競売人のポール・フェアウェザーさんはテープを「重要な録音で、完全に唯一無二だ」と表現した。

フェアウェザーさんはこのテープが、「後にとてつもないスターの座に駆け上がる駆け出しミュージシャン」としてのボウイさんについて、新たな見識を提供していると述べた。

録音は、後に偉大な実験的ミュージシャンの1人として知られるボウイさんが、自分の音楽的方向性を確信できずにいる時期を捉えている。
ボウイさんはザ・コンラッズでサックスを担当していたが、このテープではボウイさんがリード・ボーカルをとるべきだとバンド内で決まった。

ハドフィールドさんは、「デイビッドはこの時点では歌手になる気はなかった。デイビッドは心も頭も、世界的なサックス奏者になることに集中していた」と語った。

「ローリング・ストーンズのマネージャーも務めていた代理人のエリック・イーストンが、デモの録音を求めてきた。そうすればデモを使ってデッカでのオーディションを受けさせられると」
「我々はギターのインストゥルメンタル2曲とオリジナル曲1曲を録ると決めた」
「デッカは最初は我々をはねつけた。でも結局、その年の後半にオーディションを受けさせてくれた。ボーカルのロジャー・フェリスがリードをとり、デイビッドはバックコーラスを歌った」

バンドは契約を得られず、ボウイさんはオークションの後すぐにバンドを去った。
ボウイさんは6年後、最終的にソロ・アーティストとなり、似た名前を持つザ・モンキーズのデイビー・ジョーンズが活躍していたこともあり、1966年に名前を変えた。

マーキュリー・レコーズと契約したボウイさんは1969年、自分の名前をタイトルにした2枚目のアルバムで特に優れた「Space Oddity」を、シングルカットして発表した。

ボウイさんは1972年、アルバム「The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders From Mars」を発表し、世界的な成功を収める。

この成功を追いかけるように、「Space Oddity」が1975年にRCAレコーズから再販され、ボウイさんに英国音楽チャートで初の首位をもたらした。
ボウイさんは芸術的人格を次々と変化させ続け、それを通じてやがてファッション、ジェンダー、音楽、そして文化に対する世間の態度を変化させた。

ブリクストン出身のボウイさんは2016年1月、ガンでこの世を去った。25枚目のスタジオ録音アルバム「Blackstar」を69歳の誕生日に発表してから2日後のことだった。
ハドフィールドさんによって新たに公開された録音は、手紙、ビラ、出演契約書、写真、販売促進用の絵など、ボウイさんのキャリア初期における記念品の山の1つだ。

収集品は9月、ニュートン・ル・ウィロウズでオメガ・オークションズにより競売にかけられる予定。

(英語記事 David Bowie: First studio recording 'found in bread basket')

ザ・コンラッズとの1963年の録音では、ボウイさんは出生名のデイビッド・ジョーンズ名で歌っている
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