というのも、日本協会が代表監督に出せる年俸は2億5000万円が精いっぱい。世界的な超一流監督をこの金額で呼ぶことは、まず不可能だ。いま代表監督の年俸相場を引き上げているのは中国で、マルチェロ・リッピ監督(70)はW杯ロシア大会の本大会出場を逃したものの、19年10月まで契約があり、年俸は36億円といわれる。

 今回のW杯ロシア大会出場国で最高年俸監督は前出のドイツ代表・レーウ監督で5億円。史上初の1次リーグ敗退に終わり解任危機に陥ったが、22年まで契約を結んでいたため今月3日にドイツ連盟が続投を発表した。

 本当に年俸が高いのは、代表監督よりも、欧州名門クラブの監督だ。試合数からして代表チームとは比べものにならないのだから当然。世界的な名監督の相場は年俸10億円が最低ラインだ。

 かつてJリーグ名古屋を率いた経験があり、日本協会が過去に何度もオファーを出したアーセン・ベンゲル氏(68)も、今季限りで22年間在籍したイングランド・プレミアリーグの強豪アーセナル監督の座を退いたが、年俸は22億円。22年間の総額は484億円に上る計算だ。日本協会が外国人監督にこだわるなら「年俸5億円以上は用意すべきでしょう。2億円台では当たり外れが大きすぎる」(某選手の代理人)といわれるが、現実的ではない。

 依然として、外国人監督の日本協会への売り込みは引きも切らないが、断固として日本人監督の擁立、育成に舵を切るべき時期と協会は判断したようだ。

 次期監督人事は、順調に進めば20日の技術委員会で検討され、26日の理事会で正式決定する。

 “森保監督”が誕生すれば、9月から11月に行われるキリンチャレンジ杯6連戦は、現代表と若い五輪世代の融合チームを率いデビューを飾ることになりそう。

 2年後に控える原則23歳以下の東京五輪代表との兼務は難問。森保氏を日本代表に専念させ、東京五輪代表監督には別の人材を据える手もある。しかし現段階では、当面東京五輪での金メダル獲得に全力を注ぎ、その結果や、五輪世代の選手の成長ぶりで森保氏の手腕を評価。改めて22年W杯カタール大会へ向けて態勢づくりを行うシナリオが有力視されている。

 ひょっとすると2年後になれば、名波浩J1磐田監督(45)、長谷川健太氏(52)らも腕を上げ、森保氏の対抗馬として名乗りを上げているかもしれないのだ。