香川真司選手(左)と柴崎岳選手 (c)朝日新聞社
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日本代表「推定市場価格」ランキング 
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世界「推定市場価格」ランキング10
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事前の予想に反して、大奮闘した日本代表。「大迫、半端ないって」の大迫勇也をはじめ、多くの活躍した選手を出した。世界から熱い視線を注がれ、選手の市場価値は高まりそうだ。

 ドイツの移籍情報サイト「Transfermarkt」では、現時点での日本代表の各選手の市場価値を見ることができる。選手の移籍金や活躍、年齢などを総合的に判断して推定市場価格を出している。この数字をもとに、市場価格を上げそうな主な選手を見ていこう。

 現地で取材をするスポーツライターの栗原正夫さんは、一番評価を上げたのは、柴崎岳だと見る。柴崎は現在、2億3千万円と日本では11位だ。今大会では司令塔として活躍。ベルギー戦で見せた原口元気へのスルーパスは世界から絶賛を受けた。

「市場価値が上がっているのは間違いない。現在のクラブはそこまで大きくなく、より大きなクラブに移籍すると見られます」(栗原さん)

 実際、ビッグクラブから20億円のオファーを受けているという報道が出ており、今後に注目したい。

 6億4千万円で6位に入った乾貴士や、5億8千万円で7位に入った大迫は、日本の攻撃陣を引っ張り、大きく評価を上げた。ただ、残念なことに、乾はスペインリーグの「ベティス」へ、大迫もドイツリーグの「ブレーメン」への移籍がワールドカップ前に決まっていた。「移籍が決まっていなければ、争奪戦で市場価格が間違いなくもっと上がった」(同)

 先発メンバーで唯一の国内クラブ所属だった昌子源も欧州を中心に大きく評価を上げていると言われる。コロンビア戦、セネガル戦、ベルギー戦でフル出場。多くの決定機を守り切った。まだ25歳と若く、海外移籍の期待が高まっている。

 1位は16億7千万円の香川真司、2位は9億円の吉田麻也、9位は4億5千万円の長友佑都は攻撃の起点や守備の要となった。ヨーロッパを中心に評価する声が上がっている。

「長友はトルコリーグに移籍して“都落ち”のように見られていますが、イングランドなどからも高い評価を受けており、いつでも欧州のチームに戻れると評価されています」(同)

 8位は5億1千万円の本田圭佑は、今大会は控えながらもセネガル戦で同点のゴールを決めるなど存在感を示した。イタリアのチームへの復帰を狙っているとも言われたが、年齢が32歳と高いこともあり、市場価格が大きく上がることはなさそうだ。

 反対に、今大会で思わしい活躍ができず、評価を下げた選手は誰か。

 栗原さんはベテラン勢が精彩を欠いたという。最初に上げたのは、ゴールキーパーの川島永嗣だ。35歳で、フランスリーグでプレーするものの、市場価格は3千万円で、日本代表の中で最も低い。

「ベルギー戦の先制点の場面でも、パンチングが中途半端になり、相手に点を決められてしまった。全体的に安定感がなく、評価は下げざるを得ない」(同)

 13位は2億1千万円の槙野智章は31歳。初めてのワールドカップ出場のためか、オウンゴールをしかけるなど危ないシーンが目立った。34歳の長谷部誠は1億2千万で22位だったが、ボールを取られるシーンが目立ち、以前ほどプレーでチームを引っ張ることができなかった。市場価格は下がりそうだ。

 4位は7億7千万円の武藤嘉紀、14位は1億9千万円の酒井高徳、19位は1億6千万円の宇佐美貴史などは少ない出場機会を生かせず。大迫、長友、乾など活躍した選手に埋もれ、アピールすることができなかった。

 世界の「市場価格」のトップ10を見ると、100億円以上がずらり。ネイマール(ブラジル)やメッシ(アルゼンチン)がそれぞれ232億円でトップ。サラ―(エジプト)、ケイン(イングランド)、デ・ブライネ(ベルギー)が193億円と続く。

※省略

「大事な試合で得点を決められる選手が高い評価を受けている。ベルギーとの差もこういうところから出ている。日本にもこのランクの選手が一人でもいれば、結果は大きく変わってくる」(栗原さん)

 いつかこのランキングの上位に、日本人が入ることを期待したい。(本誌・吉崎洋夫)

2018.7.4 12:58週刊朝日
https://dot.asahi.com/wa/2018070400016.html?page=1