●3-4-3のベルギーが見せるわずかな隙 「狙いたいのはカラスコの裏のスペース」

日本代表は現地時間2日にロストフ・アレーナで行われるロシア・ワールドカップ(W杯)決勝トーナメント1回戦で、日本史上初となるW杯ベスト8進出を懸けてベルギー代表と対戦する。
欧州ビッグクラブで活躍するスター選手を数多く擁する相手を前に、日本の世界的な下馬評はかなり低いが、ジャイアントキリングの続く今大会の流れに乗れるだろうか――。

現役時代に西ドイツ代表(当時)の一員として1982年大会からW杯に3大会連続出場、90年イタリア大会で優勝し、
残りの2大会で準優勝2回という圧倒的な経験値を誇るピエール・リトバルスキー氏が、強豪ベルギーに存在するわずかな死角について分析してくれた。

「日本にとっては間違いなく困難な試合になりますが、戦術的には付け入る部分も存在します。日本がターゲットにしたいのは、左ウイングバックのカラスコの裏のスペースです。
ベルギーは3-4-3システムなので、元々ディフェンスラインのサイドにはスペースがあります。右ウイングバックのムニエは、クラブでも4バックのサイドバックでプレーしているので、守備に戻る意識も高い。
一方、カラスコは攻撃的なプレーヤー。守備の意識はそこまで高くないので、付け入る隙はあります」

現在ブンデスリーガのヴォルフスブルクでスカウト部長を務めるリトバルスキー氏は、ベルギー代表選手がプレーするクラブや代表の試合を数え切れないほど視察してきた。
そのうえで、3バックの左センターバックで先発が予想されるDFヤン・ヴェルトンゲン(トットナム)と、左ウイングバックを務めるMFヤニック・カラスコ(大連一方)のギャップが狙い目だと分析する。

そして、攻略するには「勇気」が必要だという。
「センターライン付近でボールを奪ってカウンターを仕掛けたい。できればルカク、アザール、メルテンスの3トップと中盤の4枚のスペースでボールを取りたい。

自陣でボールを奪っても、サイドのスペースまでの距離が遠すぎる。最終ラインを高めに設定する。そして、長谷部と柴崎がセンターサークル近くでボールを奪う。
そこから素早くサイドのスペースを使いたい。ベルギーはどんなに圧勝しても、なぜか失点してしまう悪癖がある。高い位置でボールを奪い、サイドのスペースに素早く展開できれば戦術的にはワンチャンスあると思います」

●香川と乾は「ボックス内で何かを起こせる」
 
リトバルスキー氏はこのように説明した。自陣に引きこもる守備ではなく、高いライン設定からの積極的な守備でボールを奪い、素早くカラスコの背後のスペースへと展開。
そして日本がゴールを奪う上でのキーマンとして、リトバルスキー氏は香川真司(ドルトムント)と乾貴士(ベティス)の二人の名前を挙げた。

「ベルギーのDF陣は長身で、技術的にもフィジカル的にも素晴らしい。その反面、アジリティーや機動力という部分では日本も対抗できると思う。
特にカガワ。あの高い反転のスピードでゴールに向かうことができれば、ベルギーには脅威になる。そして、イヌイもサイドで自分の形でボールを受ければ、ボックス内で何かを起こせるものを持っている」

タレント軍団であるベルギーの絶対的優位が揺らぐことはないだろう。だが、親日家のレジェンドは、“赤い悪魔”のわずかな隙を指摘。
ロシアW杯のサプライズの一つに挙げられる西野ジャパンの、さらなるアップセットに期待を込めていた。

7/2(月) 20:54配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180702-00118302-soccermzw-socc