日本代表はまとまりがすごい

2006年ドイツ大会、2010年南アフリカ大会に出場した名古屋グランパス玉田圭司。W杯を経験したプレーヤーの大会に対する思いはさまざまで、あの舞台を知るからこそ語れる言葉がある。ロシア・ワールドカップ。西野ジャパンがセネガル戦を終えた二日後の6月26日、クラブハウスで話を聞いた。

――ここまでロシア・ワールドカップをご覧になられて、どのような印象をお持ちですか?

試合は結構、見ています。やっぱり組織化されているのはクラブチームのほうだなと感じます。代表チームはある程度、個で攻めたり、個で守ったりすることが多い。だからこそ番狂わせが起こりやすいのかな。その中で、日本代表はまとまりがすごい。真面目にやるというか、それで結果が出ているんじゃないかと思います。

――本大会前には、ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督の解任や、西野監督就任後もテストマッチの出来など、不安視する声もありました。

そこまで期待されずにいけたというか、開き直って大会に入れた。そして初戦(コロンビア戦)、開始早々のPKと退場で流れが日本に傾いた。先制できて、相手が10人という状況を作れて、その中でもコロンビアが(右サイドのフアン・)クアドラードを交代で下げたのが、かなり大きかったと思います。

あのサイドで長友が何度も食い止めてはいたけれど、それを繰り返していけばチャンスを作れるのがクアドラードなんですよ。その選手が下がったのは長友にとっても、日本にとっても大きかったんじゃないかな。もちろんコロンビアとしてもその後、ハメス(・ロドリゲス)を入れることで流れを変えたかったんだろうけれど。

偉大な先輩たちに囲まれて

中田英寿、小野伸二という「黄金世代」で臨んだW杯として日本中から大きな期待を持たれていた2006年ドイツ大会。しかし、ジーコジャパンの結果は伴わずグループリーグを1分2敗で敗退。2大会連続の決勝トーナメント進出はならなかった。06年当時の玉田は26歳。第3戦・ブラジル戦(1-4)で大会初先発し、先制点を決めている。続く2010年南アフリカ大会の岡田ジャパンについては、「チームのまとまり」をすごく感じた代表だと振り返る。

――玉田選手ご自身は、2006年ドイツ大会と2010年南アフリカ大会、2度のワールドカップを経験されていますが、どのような大会でしたか?

僕はめちゃくちゃすごい大会だったとは感じませんでした。緊張もそこまではなかったですね。2006年は自分にとって初めてのワールドカップということもあったし、代表メンバーもすごく勉強になる選手たちが揃っていました。

うまい選手がたくさんいる中で、自分は下のほうだったので、プレーしながらいろんなことを学べました。それが今の自分を支えてるところもあります。何か一つ「これだ!」というんじゃなくて、いろんなものをどんどんどんどん身に付けていきました。選手としても成長できたという感触がありました。

2010年はチームとしてのやり方を直前で変えて、それが結果につながったわけだけど、「チームのまとまり」というのはすごく感じました。スタメンで出ることはできなかったけれど、日本の良さを出せた大会でした。こういうことをやっていけば、世界とも戦えるんだなと。直前にやり方を変えるのは大変だったけど、そこでチームとして同じ方向を向けたのは岡田(武史)さんの力量じゃないでしょうか。

――最後になりましたが、ロシア・ワールドカップグループリーグの最終戦、ポーランド戦を戦う日本代表へのエールをお願いします!

とにかく楽しんでほしいです。

初戦は硬い部分もあったけれど、セネガル戦は、特に乾(貴士)なんかは自分のプレーを出せてましたよね。それができれば違いを作れる選手だし、ああいうプレーをどんどん出していければ。勝ち負けは勝負事なので断言できないけれど、印象に残る戦い、記憶に残る試合ができると思うんです。日本代表には頑張ってほしいし、個人的には乾に期待しています。

■FW 28玉田圭司(名古屋グランパス)
1980年4月11日生まれ、38歳。173cm/68kg。千葉県出身。入船中−習志野高−柏レイソル−名古屋グランパス−セレッソ大阪。J1通算347試合出場97得点、J2通算85試合出場19得点。日本代表Aマッチ72試合出場16得点。スピードに加え、ボールを持てば前に行く姿勢で幾多のゴールを挙げてきたFW、攻撃的MF。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180628-00010008-goal-socc