1970年代から80年代、ブロンドの髪をなびかせて、一世を風靡した英国出身のスターといえば、オリビア・ニュートン=ジョンである。そんな彼女も69歳。古希を前に病と格闘し、フィジカル面を調整しているようだが、それに当たり、意外な方向でメンタルの支えも得ていた。

「そよ風の誘惑」か、ジョン・トラボルタと共演したミュージカル映画「グリース」か、またはアップテンポの「フィジカル」か。世代や好みによって、真っ先に思い起こすアイテムは違っても、視覚的にも実質的にも、あのころ輝いていたオリビア。

 さて、いまどうしているのかと思いきや、

「最近、創価学会に入信したようなんです」

 と、学会関係者が驚きの証言をするのである。

「オリビアさんは、90年代の前半に乳がんと診断され、闘病の末に克服したものの、昨年、脊髄の下部の仙骨などへの転移が見つかりました。このため、予定されていたコンサートツアーを延期して、治療を受けてきました。“43歳のときに初めてがんが見つかったときほど怖くない”と、強気を見せていましたが、やっぱり不安は大きかったのでしょう。そんなとき、ある日本人の学会員から折伏を受け、入信したといいます」

 オリビアには、「Let Go Let God」、すなわち「神に任せなさい」という曲がある。いまの彼女に即していえば、人知を超えた病のことは神に任せよう、ということか。だが、神なんかに任せておけない、という気持ちの表れなのか。いまでは歌詞の一部を「ナムミョウホウレンゲキョ」と言い換えて歌っているのだ。

現世利益

 もっとも、オリビアは世界の著名人のなかの例外とはいえない。

「創価学会インタナショナル(SGI)は各国に組織があり、著名人では元サッカー選手のロベルト・バッジョ、ジャズ・ミュージシャンのハービー・ハンコック、歌手のティナ・ターナーらが熱心な信者です」

 そう語るのは、創価学会に詳しいジャーナリストの乙骨正生氏。理由は、

「芸能人やスポーツ選手は浮き沈みの激しい世界にいるので、精神的に不安定になると、学会の現世利益の教えにすがろうとするのだと思う。特に人気や成績が落ち込んでいるときにSGIに接触し、入信する人が多いようです」

 ガイジンに受けるもう一つの理由は、

「学会が掲げる平和主義やエコに共感する人が多いこともあります」(同)

 また、日本での勢力が弱まっているので、外国での流布を強調したい、という学会の狙いもあるという。

 どうやら彼女には、いずれの条件もピタリと当てはまるのだ。英国在住のジャーナリストによれば、

「オリビアは生への執着が強い女性です。がんに侵されても、あきらめて心の平穏を願うとか、来世に思いを馳せるというのではない。あくまでも克服し、活動を続けたいという意志が感じられます。その点で、創価学会の現世利益にピンときたのでしょう」

 もう一つ、環境保護運動への取り組みについて指摘するのは、音楽評論家の湯川れい子さんである。

「70年代のことです。彼女はイルカを囲い込んで撲殺し、海が真っ赤になるという映像をテレビで観てショックを受け、日本でのコンサートをキャンセルしたことがありました。このときは日本のファンが、イルカ漁の伝統や、日本の漁業がイルカの被害に遭っていることなどを伝え、オリビアも理解してくれました。コンサートにも来て、環境団体に何百万円か寄附してくれたんです」

 その後、オリビアと一緒に行動もしたという。

「野生生物と人間の共生について考えようと、89年にウーマン1000という環境団体を、オリビアやオノ・ヨーコ、それに私も加わって設立しました。彼女は熱心に活動していました」

 とまれ、現世利益でフィジカルの免疫力でも高まればいいのだが……。

「週刊新潮」2018年6月21日号 掲載

6/22(金) 5:57配信 デイリー新潮
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