乙武さんは相手チームの攻撃傾向分析担当だった。

「僕ら戸山高校は小粒ぞろい。
そうした体格面でのハンディを埋めるためにも、
僕らは戦術面を重視した。
相手チームは右へ展開してくるのか、それとも左か。
パスを多用してくるチームなのか、それともラン攻撃なのか――。
パソコンを駆使し、
相手チームの攻撃傾向を分析するのが僕の仕事だった。
ときには徹夜での作業となることもあったが、
歯を食いしばって練習に励む仲間の姿を思い浮かべれば、
眠気などどこかへ吹き飛んでいった。」