大きな転機を迎えた宇佐美貴史

5月、W杯に挑むメンバーを選ぶため、西野朗監督は12日間に渡る欧州視察を行っていた。

デュッセルドルフ戦を視察に訪れた西野監督は、何に注目するかという我々の問いかけに対し「全て期待していますよ」と笑顔を見せ、スタジアムへと入っていった。

試合会場で新指揮官が見つめる先には、ドイツで挑戦を続ける、かつての愛弟子の姿があった。

かつて天才と呼ばれた男は、今、ドイツで大きな転機を迎えている。
「まともにやったって勝てない」

ドイツの自宅に招き入れてくれた宇佐美貴史選手。

「ブンデスリーガのトップレベルは、やっぱり凄いハイレベルだなと感じましたし、本当にまともにやったって勝てないと思ったんで」とブンデスリーガで感じた想いを素直に語る。

宇佐美貴史(26)FW
178cm 72kg
所属:デュッセルドルフ
今期リーグ戦成績:28試合(先発14試合)8得点
日本代表通算成績:21試合(先発9試合)3得点
「バロンドールを取りたい」

17歳で西野監督に見出され、ガンバ大阪史上最年少でトップチームで試合に出場した天才の輝きは、瞬く間に世界のビッグクラブの目に留まる。

19歳にして世界でも有数のビッグクラブ、バイエルン・ミュンヘンへの移籍を実現させた。

当時の会見で宇佐美選手は「最終的にはバロンドールを取りたい、バロンドールを目指して頑張って行きたい」と豪語していた。

しかし、世界トップレベルのドイツ・ブンデスリーガの中でも、毎年優勝争いを続けるバイエルン・ミュンヘンでの初挑戦は、リーグ戦出場数3試合と全く結果を残せなかった。


失意の内に帰国した宇佐美選手だが、2016年7月、再びブンデスリーガへ挑戦。
ドイツ1部のアウクスブルクに移籍した。

しかし、そこでもリーグ戦11試合出場、0得点0アシストと思うような結果を残すことができなかった。

本人は当時のことをこう振り返る。

「アウクスブルクで1年近くまともに試合に出ていなかったっていうのは、やっぱりすごく尾を引いていたというか、このままでは絶対にW杯には行けないという感覚になったので、何かを変えないといけないと思いました」