サッカー・ワールドカップ(W杯)直前の監督交代に踏み切った日本代表は、先月30日の壮行試合ガーナ戦に0−2で敗れた。西野朗監督体制の初陣となった試合。ハリルホジッチ前監督との考え方の違いは、数字の上でも表れている。【大島祥平】

 ハリルホジッチ前監督は「縦」への動きや「デュエル(球際の戦い)」を強調した。一方、「日本らしさ」を掲げる西野監督は「縦への攻撃も必要だが、フィジカル(身体能力の)要素で戦えないところもある。別の角度から対応していく」とボールを保持してパスをつなぐ戦い方を志向している。

 そこで、西野体制でのガーナ戦と、ハリルホジッチ監督時代のW杯アジア最終予選10試合の平均値を、データスタジアム社提供のデータで比較した。

 ボール支配率は、最終予選平均の48・1%が、ガーナ戦で58・4%に上昇。パスの本数が増え、成功率も上がった。横や後方へのパスの比率が上がり、15メートル未満の短いパスが増えている。

 ガーナ戦ではボールを保持しようと、近くにいる選手間での安全な横パスやバックパスが多かったことの表れだろう。前方へ攻めることを意識した前体制との違いが顕著だ。

 しかし、パスを回しても効果的な攻撃にはつながらなかった。シュートは最終予選の15・3本、枠内5・6本に対し、ガーナ戦は17本打って枠内5本。決定機を作り出す目安となるペナルティーエリア内への進入は15回で、最終予選の18・0回より減少した。

 「デュエル」の一つの目安だったタックル数は減少。ガーナが序盤にリードしたことで危険を冒さずロングボールを多用してきたこともあるが、特に敵陣内でのボール奪取は最終予選の18・1回が10回へ大幅に減った。ボールを奪ってからの攻撃の素早さを表すボール奪取からシュートまでの平均時間も増加。10秒未満のシュートは2・7本から1本に減少した。

 一方、相手にペナルティーエリア内まで進入された回数は減少。前監督時代は攻め急いでボールを失うことも多く、入れ替わりの激しいサッカーだった。ガーナ戦は慣れない3バックを採用したこともあって2失点したものの、ボールを保持する時間が増え、守備をすべき機会は減ったとも考えられる。

 まだ手探り状態の日本代表。開幕前に行うスイス、パラグアイとの国際親善試合も活用しながら、19日の大会初戦までにどれだけ精度と完成度を高められるかが問われる。

https://mainichi.jp/articles/20180607/ddm/035/050/136000c