2018年5月26日15時13分
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栃ノ心

 色とりどりの和服と和傘。ちょんまげの力士が身につけると、そのまま錦絵になりそうな華やかさがある。大相撲観戦に来るなら、雨の日もおすすめ。

 夏場所11日目の23日、昼前から雨が降り始めた。力士の場所入りを待つファンはそれでも多い。地下駐車場に車で乗り付けられる横綱、大関をのぞく幕内力士は、みなJR両国駅に近い南門から入場してくる。

 ピークは午後2時前後。ほとんどのファンがカメラを手にしていて、この日は下からあおるように構える人が多い。傘を差した力士の顔がよく見えるようにだろう。

 だいたいの関取が、竹を骨格に油を引いた和紙を張った番傘を好む。5月の夏場所から9月の秋場所までは、はかまをはかない着流しだ。

 安美錦は白地の着物に若葉色の傘。大関昇進がかかる栃ノ心は、黒地の着物に「心」の文字。傘は小豆色と渋い。クリーム色に近い玉鷲の傘には、しこ名の脇に赤いハートマーク。
 玉鷲は「かわいいでしょ、お客さんにもらったんだ。まじめな顔で差してたら、キュンとくる?」。裁縫好きの玉鷲は最近、ファンの間で「女子力が高い」と評判だ。

 入り待ちファンの1番人気は遠藤。「遠藤が来た」と誰かが叫ぶと、屋根の下で雨宿りしていたファンも慌てて外に出てくる。浴衣も傘もピンクと白。「きれい」「かっこいい」。千両役者は、歩く姿にすら色気を漂わせている。

 ちなみに角界では、階級によって身につけられるものを指導している。新弟子、序ノ口、序二段は浴衣、ウールの単衣(ひとえ)、人絹の帯。三段目は羽織、雪駄。幕下は新たに博多帯、コート、和傘が認められる。
十両以上は着物や足袋が許されるが、しこ名を染め抜いた「染め抜き」を着られるのは、幕内だけだ。

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安美錦
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玉鷲(左)と輝
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遠藤。足元は時雨げた