突然の解任劇に、「この美しい国をこういうやりかたで離れるとは思わなかった。最悪の悪夢でも、想像したことはなかった。私のやり方で仕事をやろうと思った。この4月7日から、私の人生で一番つらい時期をすごしてきた。人間として失望して傷ついた」と怒りをにじませた。

 ハリル氏は「ワールドカップの準備をするために来たし、育てるためにきた」と就任からこれまでの思いを回想。そして「わたしはサッカーで45年、仕事をしてきた。監督としての職業ははかないもの。どんなことであろうと何が起こるか分からない。物事を知らなかったこともあったのかも」と今回の解任劇を振り返った。

 その上で自身の貫いてきた指導方針に「後悔はしていない。チームのため、成功するためにやってきた仕事ばかりだから」と顔を上げ、「私に対して通告されたことは失望した。私に対してのリスペクトがなかった。私自身、3年、しっかり誇りを持って仕事をしてきた。そういったものを責任者として果たして来た」と主張した。

 解任理由として挙げられていたコミュニケーション不足について「コミュニケーションは毎日とっていた」と反論。「練習の質、集中をどう高めるか。3年間、だれとの問題もなく、特に選手との問題はなかった。海外との選手も電話で話していた」と強く訴えた。グラウンドのコミュニケーションについても「ちょっと違うなと思うときには面とむかって話していた」と、問題がなかったことを繰り返し強調した。

 職務に対し、全身全霊をかけてきた思いも述べた。「2カ月、休みも取らず働いてきた。休みを取ることも可能だったが、この日本にきたのは日本を育てるため。ワールドカップの予選を通過するため。『それが終わったら、またいろいろやりましょう』ということだった。(予選は)首位で通過したわけです。歴史に残るような試合もした。初戦を落として通過するチームは初めてですから」と、結果を出したことも強調した。

 この日は一般紙、スポーツ紙、サッカーライター、海外のジャーナリストら幅広いジャンルのメディアが集結。テレビ各局も駆けつけた。スポーツジャンル以外からはTBSの人気番組「サンデー・ジャポン」の取材クルーの姿もあり、関心の大きさをうかがわせた。

 同氏は3月に行ったベルギー遠征での選手とのコミュニケーションや信頼関係が薄くなったことを理由に、日本サッカー協会の田嶋幸三会長から今月7日にパリで解任通告を受けた。

 ハリル氏は「就任したのはワールドカップがあるから。そこで、海外遠征を2回した。世界における最高峰の相手をセットした。去年の11月ですね。そして今年の海外遠征」と振り返り、親善試合の内容について「代表チームの調整だと思っていた。中盤、フォワード、何かいい解決策がないかと思っていた。ワールドカップでパフォーマンスを出せることを求めていた。ですから、今まで以上にもっと幅広いものをもって、プレーできるようにと考えた。ですから、結果のことは頭になかった」と、解任は不当であることを繰り返し訴え続けた。

 21日に来日した際には「私をうんざりさせるような状況に追いやって、私をゴミ箱に捨てたような状態で。ただ、私はまだ終わっていないと思っています。私の誇りを傷つけるようなところは戦わないといけないと思っています」と、真相究明への意欲をみなぎらせていた。

 だが、記者からの解任の真実は見つかったかの問いに、「残念ながら真実は見つかっていない」と落胆。続けて「何人かの選手がもらしているというのは聞いている。会長とやりとりされているようですが、テクニカルスタッフ何人かともコンタクトをとったようだ。西野監督がそのなかでどういった役割かはわからない。ただ、『何人かの選手と話しをしたほうがいいかもしれない』と、いいかけたことがあった。本当だったら会長がこういう問題が起こっているといってくれたらよかったのに。どうしてなのか、答えを知りたい」と、首を横に振った。

 ハリルホジッチ氏の後任監督には西野朗技術委員長が就いている。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180427-00000092-dal-socc