敵地アナハイムで大谷と対戦するレッドソックスの地元紙、ボストンヘラルド紙は、「エンゼルスが獲得した大谷は、レッドソックスが失ったものである。レッドソックスは二刀流のこの天才と契約したいと望んだ。強く望んだ」という記事を配信した。

同紙では具体的にレッドソックスが大谷獲得のために手を尽くした様子が述べられている。

「昨年の冬、大谷にチームを紹介するための25分の動画が作られ、日本語と英語でも楽しめるように仕上げた。レッドソックスに入団することがいかに歴史的であり、特別かを紹介した。ベーブ・ルースは100年前にレッドソックスのすばらしい二刀流選手だった。また、現在のレッドソックスのインフラは、大谷がベーブ・ルースを追いかけるのを喜んでサポートできる体制であることもアピールした」

レッドソックスのアラン・ベアードスカウトは2011年から少なくとも11回以上、来日し、大谷を調査し続けていた。同紙は、そのベアードスカウトの言葉を紹介している。

「高校のときから、この子は違うと思った。自分の体の感覚、運動能力が抜きんでていて、走っても、バントの処理をしても、バットを振っても、どのような運動をしていても、同学年の子どもとは明らかに違った」

また、同紙は大谷の獲得は、「短期的ではなく、長期的な投資」であるから、投手として、それほど多くのイニングを投げていないことも、レッドソックスにとっては魅力的だったという。

 新監督のアレックス・コーラを含めて起用法についても話し合いを進めていたそうだ。

しかし、レッドソックスは売り込み努力も実らず、大谷と本格的な交渉を行うところまでたどりつかなかった。同紙は、「レッドソックスは大谷と座って話す機会さえ1度も持つことができなかった。彼の代理人はフロリダでスプリングトレーニングを行うチームではなく、アリゾナでスプリングトレーニングを行うチームと決めていたようだ」と、大谷の争奪戦に絡むことすらできなかったレッドソックスの状況を振り返った。

 レッドソックスの編成最高責任者、ドンブロスキーは同紙の取材に「我々が(大谷獲得に)挑戦できるポジションであったら思う」と悔しそうなコメントを残した。
 
 さらにベアードスカウトが「本拠地アナハイムでは大谷を見るために人々は入場券を買い求めている」と話したことを紹介。さらに「レッドソックスも大谷を見るために出かけていく」と表現した。15日の試合が中止になったことで獲得できなかった因縁の投手・大谷と対戦が実現することになったのである。

 地元アナハイムだけでなく、ボストンのメディアもファンも大谷との対戦に注目しているようだ。