>>655 闇市の隆盛は戦後だぞ。
戦時中は、配給物質の交換も原則的には禁止であり、それらを買い集めるなどしてたら、
特高に引っ張られてもおかしくはない。だから市自体が成立しない。
戦時中でも裏で庶民は、細々と物々交換的には、融通し合ってたが、地縁・血縁が切れているに近い主人公少年にはそのルートはなかった。

そしていよいよ戦争終盤になってくると、紙幣が通用しにくいという事態にすらなっていた。
先に米と食料品などの必需物質を確保した者の勝ち。
米が最優先。米に替えたければ、金よりも現物である反物や着物。
それらの交換先であった田舎の農家などは、目が肥えるというか足元を見るようになったので、
高価な着物でも僅かな米でしか交換してやらず、作中にあったように、少しでも安物なら、ぞんざいに拒否するようになった。
法定通貨そのものが価値も信用もなくす。それは国家自体が滅びそうだという不安の中では、実際によく起きる現象だよ。
靴磨き少年や鉄くず拾いも、終戦後の混乱期の現象な。戦中と戦後では、明確に異なる社会様相を、混同している者が少なからずいるようだな。