第90回記念選抜高校野球大会は、大阪桐蔭による史上3校目の連覇で幕を閉じた。そのわずか3日後の7日、
春季大阪府大会が開幕した。各校が“打倒大阪桐蔭”を目標に掲げ、春の戦いに挑む。

豊中ローズ球場であった1回戦の大手前―島本。大手前の右腕・林真也(3年)は、直球で相手の内角をガンガン攻めた。
昨年夏と秋に敗れた大阪桐蔭を倒すために見つけた投球スタイルだ。

昨夏の大阪大会1回戦は1―13で敗れた。昨秋の大阪府大会4回戦は0―10で6回コールド負け。いずれのマウンドにも
林がいた。

「桐蔭打線は外角のスライダーに強かった」。それまでの決め球だけでは抑えられないと痛感した。冬場、内角への直球と
シュート系のボールを磨いてきた。

「勝手に言っているだけですけど、桐蔭さんはウチと切っても切れないチーム」と、貴田浩司監督は言う。「選抜を優勝するような
全国有数のチームと2回もやらせてもらった。常にそこをイメージしながら練習ができるウチは恵まれている」

府内有数の進学校のグラウンドは、他部と共用するため、使えるのは2日に1日。2度の敗戦を通じて知った技術や戦術の
力量差を、詰められる練習環境はない。だから、大阪桐蔭に勝てる可能性がある部分を見いだし、鍛えてきた。体格なら、
同じ高校生。野手は「大阪一しんどいウェートトレーニング」をテーマに体力強化に励んできた。

主将も務める林は、この大会の抽選会を前に部員に宣言した。「桐蔭(との対戦)、引いてくるわ」。選抜の試合もチェックし、
決勝の映像は録画して見た。「負けた身としては、優勝してくれてうれしかった」。親近感がわくほど意識するチームになっていた。

春の初戦、林は5失点で完投した。7―5で2回戦に駒を進めたが、笑顔はない。「選抜では、僕らが0―10で負けた桐蔭に、
明秀日立や智弁和歌山は互角の試合をしていた。そこに比べたら、まだまだやなって思います」

大阪桐蔭との実力差がまだ開いていることは、分かっている。ただ、林は強者への挑み方を知っている。

それは、あこがれの人が教えてくれた。1学年上の主将だった二ノ丸秀介だ。昨夏、バッテリーを組み、本塁打で一矢報いてくれた。
「後で知ったんですが、狙って打ったホームランだったんですね。落ち込みかけていた雰囲気が、あれで盛り上がった。背中で
引っ張るプレー、かっこよかった」と林。ひるまず、諦めず、大胆に――。そんな主将になりたいと思っている。

この春の大会、大阪桐蔭とぶつかるとしたら、決勝だ。「勝ち上がって、また桐蔭とやりたい。そこまで頑張ります」。
王者の存在は、府立校にとって大きなモチベーションになっている。

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