リーグ3連覇に挑む広島の今季主催試合のチケットが3月1日に発売される。
すでに先行販売の段階で売り切れ席が続出しており、入手困難に拍車がかかっている。

オークションサイトで定価の数倍で入場券が取引されることが恒例になった空前のカープ人気。
球団が頭を悩ませているチケット問題の裏側に迫った。

マツダスタジアムの外周は異様な空気が漂っていた。1日の入場券一般発売を控え、
2月28日の整理券配布には2600人のファンが行列をなしていた。

広島・鈴木清明球団本部長は「たくさんの方がチケットを購入してくださるのは本当にありがたい。
ただ、できれば満遍なく、いろんな方に球場に来ていただきたい」と複雑な表情を浮かべた。

入場券のプレミアム化が顕著になったのは2015年だ。黒田、新井が復帰し、赤ヘル人気に拍車がかかった。
入手困難となり、オークションサイトなどで高額取引されるのが恒例となった。

16年の日本シリーズ、昨年のCSなどは定価の10倍以上の値段がついた。

球団が頭を抱えるのは、転売目的と思われる業者などの存在だ。
昨年のチケット発売時には、数十試合に及ぶ入場券を一度に注文する購入者が現れた。

「窓口でのやり取りは1人で1時間以上にも及んだようです」と関係者。
そうした買い占め対策として、球団は今季から1人あたり5試合までの購入とする制限をかけざるをえなかった。

ファンの急激な増加は他にも波紋を呼んでいる。通常席のチケットが購入できず、
三塁側ビジター応援席のチケットで入場して、内野1階席後方のコンコースで立ち見する観客が急増した。

一部にはゴザを持ち込み、車いす席を占領する集団も出たという。今季はDeNA、中日、ヤクルト戦のビジター席を区切り、
両チームのファンが座れる一般席として販売。コイ党の座席を少しでも多く確保することで、ニーズに応えようとしている。

1950年の球団創設以来、資金難から幾度となく経営危機に立たされてきた。
存続のために球団、市民が一体となって、球場前に「たる募金」を設置したのも有名な話だ。

旧広島市民球場時代の晩年は閑古鳥が鳴く日が多かった。球団職員が地元の有力企業に頭を下げ、年間席の購入を懇願してきた。
鈴木球団本部長は「これまでカープを支えてもらったファン、企業の方々をなるべく大切にしたい」という思いの一方で
「何でもかんでも転売を規制するわけにはいかない。県外から来る知人のために、チケットを購入するファンもいる」と取り締まりの難しさを明かした。

黄金時代が到来した今こそ、モラルが問われている。
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