2018/02/24 14:00

法で裁けない「殺人」 いじめの残酷さを描き尽くした脚本に感嘆『アンナチュラル』
学校でのいじめの実態に深く切り込んだ第7話。無情な実態に感嘆の声があがり、「生きろ」の言葉が響く…

様々な社会問題に切り込む、野木亜紀子氏の巧みな脚本に毎度感嘆の声があがる、TBS系ドラマ『アンナチュラル』。

23日放送の第7話では、私立高校の生徒が突然「殺人実況中継」を始めるという、常軌を逸した展開からスタート。一見「サイコパス」な演出で、被害者の無念を描き尽くした内容に、視聴者から絶賛の声があがっている。

■「殺人ライブ配信」ミコトへの挑戦状

ある日、法医学解剖医・ミコト(石原さとみ)の元へ、「これを見たら電話をください」と書かれたURLが送られてくる。

送り主は、予備校講師をしている弟の秋彦(小笠原海)から紹介された、私立高校に通う白井(望月歩)という男子生徒。ミコトがリンクを開くと、白井は自らを「殺人者S」と名乗り、自分が殺したという「Y」の遺体の「殺人実況中継」をしていた。

白井はミコトに対し「Yの死因は何でしょう?」と挑戦状を叩きつける。制限時間は「ライブ配信の視聴者数が10万人に達するまで」で、答えを間違えたら、人質の「X」も殺すという。

■かき消されていく「SOS」

亡くなった「Y」は、クラスの目立つグループとつるんでいた「横山」という男子生徒であると判明。ミコトが勤めるUDIラボの久部(窪田正孝)や東海林(市川実日子)も、血液反応から殺害現場の特定、配信場所の捜索など、全力でバックアップにあたる。

視聴者数が一定数に達すると、白井はミコトに「ヒント」を与え、徐々に凶器や死因も特定されていく。殺害場所と思しき倉庫から大量の血液が付いたマットも発見される中、学級委員の女子生徒(森高愛)から「横山は、日常的にいじめを受けていた」との証言が。

ミコトたちが「いじめ」と「殺人」の関係性を探る中、学校側からは「イジられていただけ」や「男の子の同士の遊びでよくあること」といった返答ばかりで、まるで「いじめ」があった認識がない。

さらに、駆けつけた少年課の警察官からも事件自体をぞんざいにあしらわれ、「いじめ被害者のSOS」が、大人たちによって無残にかき消されていく様子がしっかりと描かれた。

■「法律では裁けない殺人」ミコトの見解

いじめがあった事実をしっかりと受け止め、同僚の法医解剖医・中堂(井浦新)も加わっての決死の究明の末、横山の本当の死因と、白井の一見サイコパスな言動の真意を突き止めたミコト。

ミコトは横山の死因について、ライブ配信中に白井が朗読していた短編小説に出てくる「凶器を隠すトリック」を用いた「刃物による自殺」と断言。

さらに、「いじめっ子たちが使っていたナイフ」を凶器に使用することで、いじめっ子たちの殺害に見立てようとした、とも解説した。

しかし、これは「法医学的見解」であると述べ、「ここからは私故人の見解です」と前置きしたうえで、亡き友人を思う白井の真意を汲み取っていく。

横山の背中には、古いものと新しいものが混在する無数のアザがあり、ミコトは横山が「日常的にいじめを受けていた」ことを断言。さらに、そのような暴力が見過ごされてきたとも指摘。

「法医学的には『自殺』。でも、私は殺されたんだと思う。法律では裁けない『いじめ』という名の殺人。あなたはそれを、大勢の人に伝えたかった…」

と、ミコトは10万人にも及ぶ視聴者が見守る中、自身の見解を示した。

>>2以降につづく)


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