スピードスケートの女子団体追い抜きで、高木菜那選手(25)=日本電産サンキョー=と美帆選手(23)=日体大助手=の姉妹が日本チームを支えた
。性格も選手としての歩みも違う2人。初めて一緒に出場した大舞台で、同じ目標を達成した喜びに浸った。

 北海道・帯広南商高で姉妹を指導した東出俊一さん(61)は、菜那選手について「とにかく負けず嫌い」と言う。

美帆選手は地元で有名な天才少女。

菜那選手は名前ではなく「美帆ちゃんのお姉ちゃん」と呼ばれた。

身長が低いため「美帆ちゃんに妹がいたの?」と言われたことも。対抗意識がスケートを頑張る原動力だった。

 2010年バンクーバー五輪に美帆選手がスピードスケートの日本勢で史上最年少の15歳で出場。
菜那選手は現地で観戦したが、心から応援できなかった。「私もこういう所で戦いたい」。
翌春に高校を卒業後、進路に名門企業チームの日本電産サンキョーを選んだ。

一方の美帆選手は良くも悪くも「ひょうひょうとしている」(東出さん)。
スケート一本ではなく、「体の動きや栄養面に関して学びたい」と13年春に日体大に進学した。
その頃、美帆選手はソチ五輪への強い思いをしきりに口にする姉を「そんなにガツガツしなくても…」と一歩引いて見ていたという。

代表選考会の結果、菜那選手が代表に滑り込み、美帆選手は落選。

「そういう気持ちの差は、練習に対しての思いとか行動に表れる」と悟った。初めての挫折が姉と同じ闘争心を芽生えさせた。

 五輪出場と悔しい思いをそれぞれが経験し、2人とも精神面、技術面ともに成長した。菜那選手も今では妹の気持ちに寄り添い、
ここ数年の躍進を喜べる。「妹もつらいところからコツコツ積み重ねた」。
美帆選手も感情を素直に表に出せる姉から「気付かされることがある」と率直に言う。
自分にはない互いの良さを認め、高め合ってきた姉妹が歓喜の瞬間を共有した。

https://www.jiji.com/jc/pyeongchang2018?s=news&;k=2018022101153