なぜ彼に対しては賞賛の嵐とならないのだろうか。

今年の全日本卓球選手権・男子シングルス決勝で水谷隼を破り、14歳で最年少優勝の偉業を達成した中学生王者・張本智和のことだ。
相手は2016年のリオデジャネイロ五輪で日本人初のシングルメダリストとなり、全日本選手権にも史上最多で9回の優勝を飾っている日本男子卓球界の第一人者。
自分よりもちょうど倍の年齢の大先輩に圧倒的な強さを見せつけ、栄冠をつかんだのだから世の中は張本フィーバーが起こってもいいはずだ。

張本氏の“口撃”が称賛される

ところが、ひいき目に見ても張本人気はそこまで上がっている傾向は見られない。
筆者も全日本選手権決勝の場にいたが、観客から水谷の一挙一動に大声援が送られる一方で、張本がポイントを奪っても会場全体の大きな盛り上がりは感じられなかった。

ちなみに25日、公式戦29連勝の新記録を樹立した将棋の最年少プロ・藤井聡太四段が第66期王座戦1次予選ブロック決勝で村田智弘六段を破り、2次予選進出を決めた。
熱狂的とも言える世の藤井フィーバーはご存じの通りだろう。藤井四段は15歳で張本とわずか1歳の違いだ。

2人とも偉業を達成してほぼ同世代であるにもかかわらず、この差は一体何なのだろうかと思わずにはいられない。

張本がいまひとつ支持を得られない要因として挙げられるのは、。ポイントを奪った際に絶叫する“トレードマーク”として、いまやすっかり定着している。
個人的には「チョレイ!」と叫ぶ彼がスポットライトを浴び始めた当初「随分とインパクトがある若い選手が出てきたなあ」と興味本位で見ていた。
しかし張本が台頭して来たころにネットを見ると、意外なことにバッシングの嵐が吹き荒れていることに気付かされる。
「掛け声がうるさい」「見ていてイラっとくる」「チョレイ、うざい」などと随分な言われようでディスられている書き込みばかりが目立つ。

先日、それを象徴する出来事もあった。

●張本氏の“口撃”が称賛される

1月21日に放映された『サンデーモーニング』(TBS)の「週間御意見番」でお馴染みの野球評論家・張本勲氏が、この14歳の天才卓球少年に苦言を呈したのである。

番組で張本が全日本選手権の準々決勝で4強入りを決めた際に、両ひざをつきながらエビ反りし「ドゥオオオ〜ッ!」と絶叫する「ハリバウアー」のシーンを放送。これに張本氏が苦笑いしながら
「子どもだからね。ワァーワァー騒いでもいいけど、成人だったら『喝』やるんだけどね」と口にし、さらに「ああいう子は気が小さいんですよ。感情を抑えきれない。ワァーッと出しちゃう。
本当に根性のある人はああいう態度は取らない。男は」と持論を展開した。

これまで張本氏が同番組で発言するたびにネット上は炎上していたが、今回ばかりは「珍しく正論を言っている」「その通りで絶叫するのは気が小さい証拠」などと同調する書き込みが数多く散見された。
しかしながら日本王者になった張本が「気が小さい」とは思えない。彼は気持ちを鼓舞させるために絶叫していると聞く。

加えて言えば「大声で叫ぶ」「相手を威嚇(いかく)する」「観客に不快感を与える」などの行為は卓球のルール上で禁止行為とされているが、これまでの大会で張本が「チョレイ」や「ハリバウアー」で審判から注意を受けたことは1度もない。
今のところ、ルールに抵触しているわけではないのだ。

複数のメディアでも報じられている通り、日本卓球協会も張本の行為自体に問題はなく、他にも自分を鼓舞するための声出しをやっている選手はいるとの見解を示している。

ただし、すでにトップクラスの張本がこれからシニアの舞台でどんどん場数を踏み、世界の強豪としてその名を今以上に轟(とどろ)かせるようになれば、
何とかして足を引っ張りたい対戦相手側からトレードマークの絶叫に何らかの形でクレームが入れられるようになるかもしれない。とはいえ、これはあくまでも仮定の話だから本人的にはそこまでナーバスになる必要もないだろう。

それに張本は毎回必ず絶叫しているわけではない。いまだに出場しているジュニアの大会などではトレードマークの「チョレイ」や「ハリバウアー」を封印して試合に臨むときもあるので、“普通”に戦っても彼は強いのである。
派手なパフォーマンスをするのは、大事な試合のときだけなのだ。

>>2以降につづく

(臼北信行)

1/27(土) 8:35配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180127-00000015-zdn_mkt-bus_all

2018/01/27(土) 12:03:31.94
http://hayabusa9.5ch.net/test/read.cgi/mnewsplus/1517022211/