巨人、ヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏(43)=ヤンキースGM付特別アドバイザー=が史上最年少43歳7か月で野球殿堂入りを果たした。日米通算507本塁打を放った松井氏は、史上最多336票を集め、
野茂英雄氏の45歳4か月を抜いて、史上最年少で選出された(プレーヤー表彰)。スポーツ報知では、松井氏の殿堂入りを記念して、「独占激白!松井秀喜」を10回にわたって連載する。

 居住する米ニューヨークで、スポーツ報知の単独インタビューに応じた。2012年12月27日に現役を引退してから5年が経過。古巣・巨人から現在の生活、エンゼルス入団が決まった大谷翔平投手(23)や
同じ高卒の左のスラッガーで注目を集める日本ハム・清宮幸太郎内野手(18)まで、たっぷりと語った。ゴジラは今、何を思うのか。

 巨人は2017年シーズン、11年ぶりのBクラスと低迷した。松井氏は毎試合、インターネットで結果をチェックしていたと言う。

 「厳しいシーズンだったのではないでしょうか。今のチーム状況は、過渡期だと感じます。2度のセ・リーグ3連覇を支えてきた主力が年齢的に力が落ちてきている時期で、それは仕方がないことです。ただ、その時に
次の世代の選手が育っていなかった。それが、一番の問題だと思います」

 3シーズン続けて優勝を逃した。「常勝=巨人」の構図が揺らいでいる。現時点では、ソフトバンクの方が、「常勝」という言葉がふさわしいかもしれない。

 「私の個人的な感想ですが、V9以降、巨人には1度も黄金期はないと思います。この四十何年間、1度も。日本一連覇もないですよね。『巨人=常勝』というイメージがある方は、V9の影響ではないかと感じます」

 OBとして危機感や歯がゆさは持っているのか。

 「もちろん巨人には勝ってほしいし、魅力あるチームであってほしいです。巨人のV9以降、阪急(現オリックス)や西武には黄金期があったし、今はソフトバンクがその時期でしょう。巨人はリーグ3連覇が2度あり、
それは素晴らしい功績ですが、V9は文字通り、9年間で9度の日本一です。そのあと四十何年間で、巨人は7度しか日本一になっていません。その現実を受け入れるなら『巨人=常勝』はV9以降、存在していないと思います」

 「ただ、それだけON(王貞治氏、長嶋茂雄氏)は偉大だったということでしょう。誰一人、後を継ぐことができませんでした。むしろ、V9時代やONの功績、人気に甘えた部分が、その後のチームにも選手にも
あったのではないでしょうか。もちろん私もその一人です。V9から学べることは学び、今の時代の『巨人=常勝』をどのようにして作っていくかを考えなくてはいけないと思います」

 そのためにも、若手の台頭は不可欠だ。自分自身のことを振り返りつつ、今の若手に助言するとすれば何か。何が必要なのか。

 「選手の成長のために何が必要かであれば、謙虚さを持ち続けながら、どう自信を付けていくかだと思います。相反するように感じるかもしれませんが、この2つの心の動きをコントロールできるようになれば、
成長の助けになると思います。ジーターは試合中は自信満々でプレーしていましたが、いつも言っていました。『大事なのは謙虚さと素直さだ』と。『それがないと選手として成長できなくなる』と。
その通りだと思います」

 ただ、若手の台頭には、同時にコーチの存在も重要だ。

 「アドバイスを素直に聞く。素直に頑張る。素直さが大事と言いましたが、そのアドバイスが選手のプラスになっていなければどうにもなりません。それはコーチの責任になってきます。だから、コーチも、
もちろん大切です。ただ、選手も『コーチの言っていることは、自分にどう影響するのかな』と自分で考えないといけません。言われたことをやってみて、よくなっていると自分で感じなければ何にもなりません。
結局は自分自身です。ただ、1軍半の選手にその(見極める)思考を求めるのは難しいでしょう。だからコーチは責任重大なんです」

 1、2軍の入れ替えや競争が激しい巨人。交代させられてしまう恐怖を感じながらプレーしている選手は少なくない。松井氏はどのようにその時期を乗り越えたのか。

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