パクられるテレ東

「企画力で人気となったテレ東の番組は、業界全体の業績が落ちてくると、他局がマネするようになってきました。『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』しかり、『カラオケ★バトル』もそう。なぜ、プロの音楽番組がなくなる一方で、素人の“のど自慢”が同時多発的に増えてきたたかといえば、テレビ局としては作りやすいこともありますが、日本でも大人気となり、紅白にまで出場した英国のスーザン・ボイルも09年の素人オーディション番組からの出身という流れもあるでしょうね。そしてなにより、安定した数字が取れるから」(碓井教授)

 確かに「歌唱王」の場合、常に12%以上の数字を上げている。

「それは視聴者側も求めているからです。いまどきのプロと言われている“集団”よりも、よっぽど上手い素人が多く、聴き応えがあります。選曲も、流行っているのかどうかすら分からないような曲ではなく、誰もが知っている、時代を超えて残った名曲が多い。そこにある種の“ドキュメント”という要素も加わります。なおかつ、カラオケという敷居の低さも、入り込みやすいところでしょう」(碓井教授)

 すでにこれらの番組出場からプロになった歌手も多い。また地元で1日警察署長を務めたり、セミプロ状態の出場者まで出ているほど。

カラオケマシーン攻略が鬼門

「ただし気がかりなのが、草分けの『THEカラオケ★バトル』ですね。採点が機械ということもあり、最近では出場者が高得点を得る攻略法を学んでいるのか、100点満点が続出してます。なんだか歌唱法が似たりよったりで、個性がなくなってきているように思えるんですよね。今回は日テレの『歌唱王』のほうが、個性があって聴き応えがありました」(碓井教授)

 テレ東もテコ入れが必要かも。